ショートストーリー
若者たちの国
NYAHON国は高齢化に悩んでいた
増え続ける高齢者、減り続ける若者
かといって企業を支える若い外国人労働者には
正当な権利を与えずコキ使うから彼らは
働いて金を稼ぐと母国へ帰ってしまう
そんな悪循環でNYAHON国は苦心していた
若者、子どもを大事にしたい、しよう!するべきだ!
一時の財政不安よりもまず、若者を増やす事を考える
優秀な若者が高齢化のこの国を見捨てて海外へ脱出しないように
魅力ある国にする事を考えるのだ
そしてその若者がこの国で子孫を作ってくれたら・・・
若者に負担のかかる年金制度は廃止され
若い人は税金を優遇される、別名「若者ボーナス」法が作られた
昔不純異性交遊などという言葉もあったが
今は10代の子どもが妊娠しても大歓迎
国が出産、育児までめんどうみます、という事にした
遊びを咎めるより、まず、人口増進である
結果、しばらくの年数を経て出生率が上がってきた
だが街は荒れ果てていた
無知で無防備な若者が闊歩し秩序なんてもはや無い
大事にしすぎて、過保護になった結果といえる
***
そんな時救世主となった研究が感性した。肉体の老化を止め
肉体の最良年齢(平均18〜25歳くらい)に再生させる夢の研究だ
不死とは言わないが寿命も延びるし、寿命のギリギリまで
若いままの肉体なので若い行動力がそのままなのだ
本来ならすぐそこにある死ももはや何十年後の遠い未来になり
老人(元老人と言うべきか)たちはこぞって手術を受けた
社会は安定してきた。昔の不自由な時代を生きてきたたくましい精神力
蓄えた知識、分別ある常識力、気力あふれる彼らは旺盛な購買意欲にあふれ
・・・NYAHON国は昔以上の経済大国になっていった
***
さらに月日は流れた
それからわが国はどうなったかって?
街を見てくれたまえ
そこには以前と変わらないような荒廃した繁華街があるだろう?
ナゼってあきれないで欲しい。人は愚かだと本当に思うよ
肉体が若くなった老人・・・でも結局同じだった
若い肉体を手に入れた彼らは、以前は老いからあきらめていた色々な衝動を
抑えられなくなった。好き勝手に生き始めた
国のため、子どものため、が、いつしか自分だけのため、に・・・
そうして若者と同じになった彼らは若者と衝突する者、同調する者・・・
結局肉体が若さに飲み込まれたのと同じように精神も、また・・・
この国はもうダメだろう
せっかく遠い国から来てくれたのにつまらない国で申し訳ない
もう帰国するかい?そうか気をつけて。
私の事を心配してくれるのはありがたいが、私は大丈夫
崩壊した政府(そんな機能も無いなんて)に変わって何とかやっていくから。
まだ1〜2世代は大丈夫だろうさ
メンテナンスは国連からたまに来てくれるから不自由は無いよ
では・・・さようなら
以上:NYAHON国大統領代理ホストコンピュータRO−JIN記録より
*********************************
今若者の購買意欲が低下して色々な企業が悩んでいると問題になっていると
ニュースで見ましたが、確かに私たちの年代のほうが物欲が強いと思います
ただでさえ子どもが減っているのに、その子どもたちがモノを買わないって
こりゃタイヘン!お金が動かなくなり、結果国の崩壊の危機!
と同時に最近TVで見た17歳のシングルマザーを思いだし
ワケアリの若い出産を保護したらどうかなあと思いました
もちろん大人になって経済力や責任能力が出来てから出産のほうが
良いに決まってますが条件のそろったはずの20代が結婚や出産に
前向きではないようです。お金が無い、とか仕事が、とか
まだやりたい事が、とか。そんな事をいっているうちにどんどん
結婚年齢が上がって、結果出生率も下がってしまいますよね
だからワケアリ出産の人については保護してあげたらどうかな?
外国人受け入れには難色を示す方も多いから日本人を増やすにはこれしか。
高齢化については悪評高い、後期高齢者保険制度が話題ですけど
若者の「どうして年よりのために負担が増えるんだ」と言う意見もわかるし
(なるほどこれじゃ購買意欲無くすわね)それじゃ、お年寄りの体が
若くなったらバンバン働けるし遊べるし社会が活性化するのでは?
何て荒唐無稽な考えがわいてこんな話を作ってしまいました
お粗末さまでした! 2008/5/31
ディスクコピー
私はりん、40代半ばのどこにでもいる主婦だ
いつまでも若いつもりでいたけど
この間、電車がトンネルに入った時ガラスに映った我が身を見て
「このオバサンだれ?」と愕然としたわ
そのに写っていた女は私じゃない!
生活にくたびれて、ヨレヨレになった小汚いオンナ
それが私だなんて絶対に信じない・・・
でも・・・
鏡を見ると現実は容赦なく襲ってくる
白雪姫のつもりだったのに
いつのまにか年老いた魔女になったいたなんて。
そんな私の最近の楽しみが美容グッズ探しになった
会社の後の買い物も食品から化粧品に変わり
ネットで買うのはエステグッズ
そうしてある日目に付いたのが、それだった
『顔も体も蘇る!スーパー若返り術 無料体験』
こんな胡散臭い文章はネットでは珍しくない
悪徳商品にだまされるほど私もバカじゃない
・・・!・・・
私が釘付けになったのはそんな怪しい文句じゃなかった
私はそのページの人物の顔に驚いたのよ
その人は取引先のちょっとした美人で年齢不詳だけど
まだ30ソコソコかしら?でも数年前より若くなっている気がしてた
その人の年齢をWEBで見てびっくり!
私なんかより10歳も年上だった
彼女はその若返り術の体験者で、体験談を載せていた
カンタンなプロフと使用前、使用後の写真
使用後の水着写真もあった
使用前のくたびれたオバサンは私よりひどく見えた
その彼女が?なぜあんなに美しいの?若いの?
*****
私は日々の会社での苛立ちを思い出していた
彼女が来社した時の男性社員の優しげな声
いえ、男だけじゃないわ
若い女性社員の子達も「オシャレですよねー」なんて
チヤホヤしている
私といえば、早く辞めろといわんばかりの扱いで
トイレで若い子が「お局、早く辞めろって」
「何あの服、ババァじゃ仕方ないか」
「化石だよぉ」「あははははは」と私のことを言っていた
こんな毎日はもう嫌よ
私は皆を見返してやりたいと思った
だから、私があの怪しい若返り術に
つい乗ってしまったとしても
仕方なかった・・・そうでしょう?
************
若返りのスタジオは予想通り、と言うか
こんなものだわね、と言うか
古びたビルの一角にあった
看板だけじゃ何の会社だか、わからない
ともかく私はドアをノックした
応対に出てきたのは若い女性だった
とても親切な口調、でも目を引くのはやはり
若さゆえのハリのある肌や、ひきしまった体
そんな私の遠慮ない視線を感じたのか
彼女は微笑みながら言った
「私いくつに見えますか?」
24,5歳・・・それともこんな会社だから
案外30代かもしれない
そう答えると彼女は、いっそう楽しげに微笑んだ
「ありがとうございます。でも私52歳なんです」
彼女の答えに、私は驚かなかった
と言うよりも、絶対に嘘に決まっていると思った
バカバカしい!もう帰ろう、こんなインチキサロン
席を立った私が帰るためにドアに向ったその時
その・・・ドアが開き・・・
よく知ったその顔が入ってきた・・・
「こんにちは。あなたも入会なさるの?」
仕事でよく知っている「あの女」の姿に驚いた
でも、知りたい、彼女の若返りのヒミツ
その欲求を止められなかった
もう私は帰れなかった・・・・・・・
************
何日もしないうち、私を見る周囲の人々の目が変わってきた
遠まわしに「整形?美顔術?」と尋ねる人
ただジロジロ見るだけの人、興味半分で誘う人・・・などなど
そう、私は若さを手に入れたのだ
人々の賞賛、あるいは嫉妬さえも、私は震えるほどに嬉しい
スカートの丈が段々上がってきた
ちょっとくらい腿が見えたって『若さ』故許され、美しい
*************
ねぇ、知りたい?この若さのヒミツを
そうね、あなただけに言っちゃおうかしら
でも約束よ、誰にも内緒にしてね・・・
**************
若さのタネは自分自身だった
最近のニュース、知ってる?
万能細胞が色々な臓器を作る可能性があるとか?
実は、それを通り越してとっくに、科学はやっていたの
クローン技術というと嫌なイメージがあるけれど
早く言えば、そういうことね
私の細胞から培養されたのは私
それを猛スピードで成人に成長させる技術はすごいと思う
細胞から受精卵、胎児、そして・・・成人へ
記憶を核として人格、個性なども完璧に移した
私は若い肉体と、大人の経験を併せ持つすばらしい人間になったの
もう、誰の事をうらやむこともない
また時が流れて肉体が醜く老いても
その時はまたこの体からコピーを作れば良いんだから
恐いものなどない!
**************
あれから何年たったかしら?
私は老いのスピードが速く2回ほどコピーをしたけれど
また目じりにしわが・・・!まぁいいわ
明日コピーしにいくのだから、3回目の。
いくら若い体になっても性格も環境も
同じなら結局同じような人生で
同じように老いてしまうのね
それは悲しい事実だったけれど
3度目の正直って言うじゃない?
今度こそバラ色の人生!を送ってやるわ
**************
3回目の若い体
やっぱり若さはいいわ
かがみをミテいるちじふんがチレイでうれひい
?????
なんだか疲れたのかしら?
新しい体なのに?
イエだいじょほびでふぁっつぼcんxtrvdkdxb
(意味不明)
*************
ネットニュース警告
美容術で肉体の若返りをうたった闇のサロンが流行していますが
闇クローンは法律に違反しています
加えてクローンは脳への記憶の移植も大変危険ですので
絶対に手術を受けないようにしてください
注:クローニングによる記憶注入はバグが多く
回を重ねるほどバグが増えていきます
(一口メモ わかりやすく言うと
コピーをコピーしていくと・・・
そう、紙のコピーでやってみてください
何枚もやっていくと始めと終わりでは
明らかにキレイじゃないでしょう?)
*************************************
あとがき
いやー、何というかこのひがみっぽいオバサンは
わ・・・私がモデルじゃないよ(笑)
でも若い頃に戻りたいとは思わないです
割と『今』が好きなタイプですから。
でも、肉体は若い方がいいですから体だけ戻りたいですネ
実際は体は老いていくだけだけれど
気持ちまで年をとる気はないです
ムリして若い気分になるという事ではなくて
自分が一番好きでリラックスできる事をやって
毎日を楽しく過ごせたら心だけは永遠の若さを保てるゾー
ちなみに・・・音楽は息子(高3)と張り合えます♪
2008/5/26
野生の惑星
今日も外は熱風が吹いている
強い酸を含み湿度も高い風は
私たちの皮膚を容赦なく刺してゆく
時折ヒリヒリと焼けつくような痛みが走る
でも、このくらいならまだ大丈夫
外国では凍える寒さに耐える者
乾燥した熱波の地方では潤いさえないし
私たちの列島はまだ恵まれている
生命の危険が無い限りシェルターには入れないし
この外で耐えるのが最良の生きる道だと知っている
生命力
素晴らしい人生とは・・・強い生命力
大人に教えられずとも皆知っている
自分の目で見て、体験しているから。
弱い者の末路を。
*****
大昔栄えた文明が滅んだ理由
肉体の脆弱・・・
この単純な理由による
文明が進むにつれ
人族はあらゆる障害を克服していった
厳しい環境は建造物の高度化で対応
肉体の病気や老いには医療の進歩で長寿を実現
人族は快適な生活空間と不老長寿をベースに
有史以来、夢に描いた理想郷を手に入れた
・・・かに思えたが
それは長くは続かなかった
悪化していく地球環境に反比例して
快適に変化する生活空間。暑さ寒ささえ無くなった
細菌やウィルスの撲滅された清潔な空気
無菌室のような町・・・
そんな人族を死に追いやるには
凶悪なウィルスは必要なかった
彼らはちっぽけなウィルスで・・・歴史を閉じた
*****
私たちは彼らの二の舞はしない
環境から逃げて生きていくのではなく
自分を適応させて前を向いて生きていく
私たちは負けない
この星が滅びる時まで
共に生き抜く!
*****
歴史書より抜粋
私たちの起源
私たちの祖先はゴキブリ目
以前地球を支配した人族よりも古くから
ここにいた。3億年という時間を経て
(その間の短い期間に人族は発生し消えていった)
姿が変わらない強靭な肉体が
化石でもその雄姿を残している
むろん姿は同じでも生命力はよりいっそう鍛えられている
過酷な地球と共に生きられるように・・・
(終)
***********************************
最近猛威をふるっている麻疹(はしか)ですが
予防接種を受けていても感染する人がいて
終生免疫なのに免疫が定着しないのはなぜ?
と思ったらいくつか理由があるらしいです
まず自然感染が減った事
昔は小さい子が予防接種の前に自然感染してしまう事が多く
(私も)大変だけどタップリ免疫が付いた感じです
今は予防接種の普及のため(アメリカでは麻疹は撲滅したらしい)
感染の機会が減りました
予防接種の普及のためだけでなく
清潔な環境で最近やウィルス自体減っているらしい今の社会
賞味期限なんかも昔は無く、匂いや味で痛んでいるか
判断して適当に使っていた食材も今では
*月*日と表示され、息子なんて1日過ぎても
絶対食べません
(おじいちゃんと私は野生のカンで、平気で期限切れ食う 笑
そのせいかおじいちゃんと私は超健康
期限切れにうるさいダンナと息子のほうが風邪とか鼻炎とかかかる)
きっと資源が無くなったり
環境が厳しくなったりして
生き残るのはゴキブリなどですよ
もっと人間もたくましく、不潔に(?)なりましょう
特に日本人はね・・・清潔すぎないですか?
作成者 りん : 2007年6月9日(土) 12:17
惑星のお値段
世の中バカな輩が多すぎる
夜の街を流していると強く感じる
今日行った店の売れっ子嬢は俺の年収を1ヶ月で
軽く稼ぐ・・・
そしてその金は売れないホストで
ヒモ同然の冴えない男に流れていく
街には親の金で豪遊するバカ息子たちや
亭主には冷や飯を食わせて自分はグルメツアーに出て
トドかアザラシ化する主婦たち
それを気づかない振りをしつつ
やるせなさに夜の街に金を落とす男たち
世の中間違っている
このままでは社会は崩壊してしまう
生産性の低い人間は要らない
キカイとは便利で勤勉、合理的だ
この私の考えをシステム化した
人間の値段算定ソフトも
キカイのスピードと合理性の賜物だろう
以前WEBで流行った人の値段ソフトがあったが
今回のものは実用的
緻密な計算によって社会にとって有用な人材がわかるのだ
企業や役所の採用、政治家の選択等効果は素晴らしい
幸せとは金ではない
人は心だ
という理想を追い続けここまで堕落した社会
そろそろ数字に目覚めるべきだ
*****
数年経った今私はまるで受刑者のような粗悪な労働を
科せられている
私は社会の屑を捨てたかった
湯水のように無駄金を使う社会のダニ・・・
ところが、彼らの値段はとても高かった!
生産性は低く消費ばかりのハイエナども
そうではなかった
彼らは消費に見合う生産性があったのだ
悪名高い違法スレスレ商法の会社は
私利私欲に走った結果
豪遊したり高級車を買ったりと
旺盛な消費活動をする
グータラで寝てばかりの親のスネカジリは
親の責任感からか親の精神と肉体を強化し
結果寿命を延ばしている
そうしてふるいにかけられ
残ったのは日々節約しつつ
真面目に働く者たちだったのだ・・・
余分な消費をしない
生産性は低い
数字は残酷だったでも・・・これが正しいのだ
善悪で判断する事によって
社会は衝突を繰り返してきた
戦争もテロも今は減っている
なぜなら、正義とは金に代表される生産性だと
皆が気づいたから・・・
私もなんとかこの地獄の労働所を脱出したい
それにはまず、仲間から報酬を騙し取ろうかな
*****
遠く離れた星では高らかに笑い声が響いていた
彼らがそっとチキュウという星の
稚拙なキカイに忍ばせた生産性計算ソフトで
彼らの社会が変貌していく様があまりにも面白かったから。
うーん、このままだと自然の枯渇や
環境破壊であの田舎惑星は滅亡するゼ?
ほっとけよ
そんな事もわからないでセッセと
星を食いつぶしてる害虫だから。
害虫に荒らされてるからあの星、安いし・・・
作成者 りん : 2007年6月9日(土) 12:20
****************************
惑星のお値段 あとがき
以前自分の値段を診断するWEBがありましたよね
それを思い出しつつ
TVで犯罪など悪い事に動くお金は大きいと
言っていたので、なるほどと思って書きました
私は貴金属や高級品に興味が無いのですが
こういう人間て消費的には良い客ではないです
私みたいな人間ばかりだったら
経済って下降していくんだろうなあ
毎日セッセと働いているけれど
私の給料なんてあっという間に稼ぐ人はいるわけで。
性産業やアンダーグラウンド産業で大胆に稼いで
それを大胆に使うのは悪いことではありません
(違法は別。やっぱ犯罪はイケマセン)
マジメって事はビンボーってことさっ
・・・と思い自嘲気味のお話にしました
でもさっ・・・ビンボーも楽しいけどねぇ
作成者 りん : 2007年6月9日(土) 12:22
熱愛
数年前友達が、変な宗教に入った
お金を巻き上げられ、宗教に知人を片っ端から勧誘し
結果お金も友も、失った
でも本人は幸せの絶頂らしい
人はなぜ簡単にだまされるのか?
あの一般的には肥え太り脂ぎる醜悪な容姿が
彼女の目には世界で一番のイケメンに見える不思議
私は決してだまされない
彼女を反面教師として、私たちは居酒屋で盛り上がっていた
退屈な毎日は、過ぎていく
彼女の入信騒動も、TVのスターのスキャンダルも
遠い国の紛争も、ただ流れ行くだけ
そんな時ふと耳にした曲があった
キレイな、心地よいメロディと
耳元でささやくような歌声
すぐ探してみると、無料で数曲ダウンロードできるらしい
さっそく視聴・・・これはいいかも!
数日経って、同僚と飲んでいると
ひとりがケータイを見せた
「ライブに行ったんだけど、すごいのよ、知ってる?」
そこにはお世辞にもカッコいいとは言えない中高年の男たちが
写っていた・・・が、音声から聞こえたのは
あの「美声」だった
ふーん、あの「彼」はこんなオヤジだったんだ
少しガッカリしながらも才能や音楽は美醜と関係ないわ、と
私は苦笑いした
とても彼の「曲」に惚れていたから・・・
*****
数人でライブに行った
終わった後は体が動けないほど感動していた
家に帰って、曲を繰り返し聴いた
涙が止まらない
公式サイトでは「いつでも事務所に遊びにおいで」と
書いてあった!!!!!
有休が(ライブで)使い切ったから欠勤だけれど
かまわない。さっそく私たちは事務所に向った
そこはロココ調やアールデコ調の家具ややたらな金細工で飾られ
(以前の私だったら大嫌いな成金趣味と言っていた)ていたけれど
彼らの音楽活動の成功の賜物と思うし
とても合っていると思った
面会した彼らはとっておきという映像と音楽を見せてくれるという
黒いカーテンを引いた部屋の中でスクリーンに
釘付けになる私たち・・・
******
夢のような時間を過ごして、私たちは一生のファンを誓った
彼のふくよかな肉体が私たちと交わり
私たちの耳元で彼らのささやく甘い言葉は至上の幸福
私のサラリーは彼らの活動資金に消えていった
ファンも増やしたいな・・・学生時代の名簿を使って
音楽好きそうな子をピックアップしてみよう
*****
宗教は世界を制することはできなかった
なぜなら文化も人種も何もかも違えば理解できないから。
だが芸術は違う
中でも音楽は簡単だ
耳から入ってくる音が心地いいか否か、それだけ。
良質な音楽を生み出す
それこそが世界を制する第一歩
私はそう考える
現に若い頃からコンプレックスを感じていたこの容姿さえ
ファンには何の関係もない
むしろ愛くるしいとさえ・・・
さて・・・今日はどんな娘が来るのか?
私たちに「入信」するファンは・・・(終)
****************
あとがき★★★熱愛
最近息子の影響で邦楽の「キリンジ」にハマっていますが
武道館ライブDVDを買いまして本日観ました♪
この兄弟は何てカッコイイんでしょう!うっとり
でももしも私が彼らの音楽を知らなかったら
ただのフツーの人、で終わりでしょうし
お兄ちゃんの高樹氏にいたっては、太ったら
カンニングの武山に似るかも?しれないけど
いーや、私には今好きな男No1という(笑)
その人の才能を知ってしまい、作品に惚れてしまうと
容姿は二の次・・・
中学生時代夢中になった井上陽水も
当時流行りは目の大きな欧米型の顔だったのに
あの小さな目が私にはイケメンでして(笑)
余談ですが、息子が自分のお気に入りって
あんまり売れて欲しくないって気がしない?といいました
何となくわかる・・・
チャートの上位を占めるアイドルのように
万人に売れて欲しくない・・・嫉妬ですかね?
ちなみに、熱愛、というこの話
ちょっと新藤冬樹「カリスマ」に似てるかも?
(ボクちゃん通信の読書コーナー参照
カルトの教祖とその信者とのスゴイドロドロなストーリー)
2007・4・21
戦争をしよう
新国連では初めての決議が採択されようとしていた
それは世界中の国全てが加盟した新国連体制でこそできる事
全ての国の「永久戦争放棄」案である
有史以来戦争の絶えた事のない人類が今
初めての世界平和を実現しようとしている
反対する国はなかった
***
さてそれから半世紀経った
今世界はどうなっていると思う?
答えは、ほら、窓の外を見てくれ
おっと、気をつけて。
あまり顔を出すと撃たれるよ
防弾ガラスもアテにならない
最近は武器も強力だ。武器と防具のいたちごっこだ
結局戦争が無くなり平和は訪れた地球だったけれど
問題が発生
それは、戦争による死者が激減して
さらに戦地に男が行かなくてよいので、子どもが増えた事
めでたい?そう、そう思ったさ
でも人口増加は深刻な事態をもたらした
当たり前だが、食糧難、資源難、だ
色々な国で略奪が横行した
飢え死にする数も増えていった
それで人は目が覚めたんだ
飢えて死ぬよりも戦おうってね
人類がなぜ昔から戦ってきたのか
初めて理解したよ
人の持つ闘争本能、遺伝子に温存されている暴力遺伝子
それは個人を守るのではなく
人族という大きな種を守るためにあったのだ
戦争は、まさに遺伝子のもたらす人口コントローラーだった
戦争が再開されて、みんな喜んでいる
明日の事?知らないね
生きてるかわからないからね
でも、ひとついえるのは
自分が死んでも今俺の冷蔵庫には2週間分のストックがある
わが国は物は豊かだからね(戦争特需)
生きていれば飢えて死ぬ事は無いから・・・
***
だが彼がその食料を食べる事は無かった
なぜなら
彼の国に放たれた光は国中を焼く尽くしたから。
そうして、地球上から国というもの、生物と言うもの、は
ほとんど消滅した
人類は今ひとつだった
初めて平和を(飢えも無い、戦争も無い)もらった
天国と言う新天地で・・・ (終)
あとがき★★★戦争をしよう
もう皮肉たっぷりに、書きました
何に対してって、もちろん銃規制しないアメリカに、です
それでも、銃はすばらしい、というのでしょうから。
戦争は人口調節機能を持つと言う意見はよく耳にします
平和になったら食料が足りないよ、と以前言った人がいました
確かに数で行くとそうかもしれないですが
人間てそんなにバカなんですか?
殺しあわないと人口調節ができないですか?
3人いれば文殊の知恵、っていいますが
3人どころかこんなに地球には人がいるのだから
いい考えがきっと、あるはず・・・
2007・4・21
老人ポスト
最近増えている老人への虐待は
高齢化社会の今、どうしようもない事かもしれない
寝たきりの妻を殺害した70歳
認知症の母親の首を絞めた娘
夜勤で疲労がたまり、患者に手を上げてしまったという看護師
みんな、疲れていた
社会が、疲れていた
そんな状態だから、こんな発想がでたのだ
世間の話題を独占している「老人ポスト」
老人が重荷なら虐待や殺人などに走る前に
こちらへお預け下さい、という施設である
それは運営開始から利用が殺到していた
運営上の都合もあるので
面会はできないシステムだったが
老人が「ポスト」に入ってからは時折家族に写真や動画が送られた
微笑んでいる人、静かに眠っている人、日向ぼっこしている人
誰もが老親の幸せを思い、ほっとしていた
世間の雰囲気も変わってきた
介護のお金が減った分、レジャーなどの消費も活発になり
若者文化が戻り社会が若返ってきた
ある時、親を預けた娘が後悔し始めた
親と離れて、冷静になったのだ
女手ひとつで自分を育てた母
おかあさんごめん!
彼女は「ポスト」へ急いだ
ところが面会はでず、もう会うことはできないと言う
抗議したが、預けるときの契約もあり
母を取り戻す事は無理だった
一目でも母親を見ようと彼女はある時
「ポスト」への侵入を試みた
巨大な建物、多くのベッド、老人たち
だが、母はどこにもいない
そして・・・そこへは偶然たどりついた
その偶然は無かったほうが良かったが。
彼女が見たのは老人たちが安楽死する現場
彼らの移送先は天国だったのだ
二度と会えるはずは無い
写真などを撮ってから「送られる」のだ
「誰だ!」人がやってくる
だが彼女は動く事など出来なかった
「見たのか、まあいい。これを世間に言ったなら
どうなると思う?私たちだって、こんな事はしたくはない
でも人々が疲弊している今、どうしたらいい?
答えがあるなら教えてくれ。
それに、私たちは家族が連れてきた人だけ送っているのだ
虐待されたり捨てられた人たちだ
せめて安らかに、と」
「私も送ってください」彼女は言った
「バカを言うんじゃない。ここは健康な若い者は受け付けない
50年経ったらおいで。その時私はもう送られているだろうけど」
苦笑いしながら男はドアを閉めた
表玄関では、新たに家族を預けにきた人たちがいた
「おばあちゃん、元気でね」そんな声が聞こえた
多くの老人たちを踏み台にして
社会のピラミッドは立っている
土台が崩れようとしているのに、気がつきもせずに(終)
2007・4・10
あとがき★★★老人ポスト
今ニュースで話題の赤ちゃんポストですが
賛否ありますが、昔コインロッカーに新生児が入れられたり
今も昔も子を捨てるというのはあるんですね
必要悪と言う言葉がありますが
危ない場所に捨てられたり、虐待されるよりは
避難的な場があってもいいと思います
倫理的に許されない、と言っても現実に捨てる人がいるならば
保護しないと・・・
で、老人ポストは同じく、いい事とは思いませんが
高齢化によって起こる介護の悲劇を思うと
何とかしないと・・・と言う事で考えました
と言ってもお金もかかるし(介護士の方たちも激務なのに
給料等安いらしく、これもまた、問題)
全然いい考えが浮かびませんでした
だから先ほどのサバイバル・ロッタリーと「2300年・・・」と
混ざったような後味の悪いお話になってしまいました
これ、決していい話じゃないです、が
老人の暗いニュースの度に解決策のなさに暗くなるので
嫌な話にしました
私も今77歳の主人のお父さんと暮らし
実家には73歳の母親がいます
近い将来私には老親2人の介護が待っています
うーん、覚悟しているけど大変ですよね、きっと。
その時は仕事も辞めるのかなあ
ト