しょーと★ストーリー 2

貨幣経済の終焉

世界の紛争の原因は何か?それはお金に決まっている
個人から国家まで,お金は諸悪の根源だ

お金がからむといい人はいない
小さい国に核ミサイルを落としても平気だし
保険金目当てにダンナも殺せる

そこで貨幣を廃止して善行を行った人に
生活物資を配給する事にした

果たして世界は・・・・・

いい人ばかりとなった
ボランティアという言葉もついには無くなった
人間関係にイライラする事もなく、生産性も上がった
一方で需要は高く(善行するものが多いから)
供給は段々追いつかなくなっていった

これではいかんと配給率を下げると
とたんに軽犯罪は増えるし、いじめも再発
これではイタチゴッコだ
人は、やった分以上の報酬が欲しい生き物だ

何を報酬に与えようか?物資の代わりに・・・

今も結論は出ていない。欲深な人間を満足させる術は・・・

で、世界は破滅一歩手前の時間でタイムマシンで
歴史を戻っているのだ。グルグルと、廻っているわけである
この世界は何回目なのか私にはわからないが
きっと今回もいい案は浮かばずにそのうち過去に戻るんだろう

あーあ、みなさんが未来が来ると思っているのは過去である。
私も早く未来が見たい。いい案ないですか?
苦しい世界の台所事情を何とかしないとまた過去へ・・・・・

2001/2/8


世界の紛争の種は経済(物資)であると何かで読みました
J.rさんのHPなんて読んだんでよけいに食料不安感じまして。
でもきっと人は胃袋が満足したら別の要求するんでしょうね
先進国見ればわかるってもんですね・・・・はあー・・・(暗)

ちなみに、なぜ平等社会を謳う社会主義国家がうまくいかないか
と言うと人間に私利私欲があるからだと私は思うんです
自分にイイコトが無いと人は動かない、という情けない事実

一方でボランティアなども人間の美徳なんですけどネ

免許書き換え

母親、りんが家に帰った時気がつくと
郵便受けに一通のハガキがあった。見ると免許の更新案内だった
来た!いつもこの時はどきどきする。
「ただいまー」子どもが学校から帰った
子どもにハガキを見せる・・・・・・「親業免許更新案内」

「書き換えかあ,今年は免停かもね。ボク若くてやさしい
お母さんの家がいいなあ」こともなげに息子が言う。
はあ・・・家事もイマイチ、子どもには口うるさい、家計も火の車
今まで得点すれすれでここまで育ててきたのだ。
今年はダメかもしれない。わが子が免許に通った良き家庭の手に渡る

落ち込んだが子どもの為には良い事だ。親ならば自分達よりも
良い環境で子どもが育つ事を祈ろう。それが親の義務だ・・・

一方で親業免許を取得できない人が持てる免許があった
あふれるフェロモンと美が認められれば「自由恋愛免許」がもらえる
親にはなれないがいつまでも美しく,恋をしていたい人に。
これを持っているとあらゆる若さと美の技術がタダで受けられる
永久に美しく、と言うわけだ。子どもをもたなければ結婚はよいし
結婚後の恋愛も合法だ(親業免許者は恋愛はだめ)

自由恋愛免許は特に女には「イイ女」の証明となった
巷でも美人が増えるから社会の精神衛生上も,なんか良い。

次第に親業免許取得者は減って行った

さて,冒頭のりん夫婦はどうなったかって?
そう,見事に免許書き換えに失敗してしまった。
だが夫婦して恋愛免許目指してセッセと
エステや、整形,カルチャースクールなど,無駄な、いや有意義な
日々を送っているらしい

親業免許は大変だ。親にならずに自分の快楽に生きよう!
子どもを育てる親たちは減って,出生率も減って
これはヤバイな、誰もがそう思ったときは
人口を維持できないほど子どもは少なくなっていた


その先の人類はどうなったか・・・・・・・


ま,人類も自分の快楽で滅びたんだから本望でしょ


あとがき

見え見えですね。虐待事件の度に親になるのに「免許制にしろ」と
半分本気で思う人は多いみたい。子どもを育てて,その後
すぐ死んでしまうと言う生物の法則が人にはちょっと当てはまらなくて
持て余した時間に戸惑う。また,人の子は生まれてすぐに立ったり
走ったりは出来ない未熟な状態で生まれるから保育も大変だ

動物よりも楽で、辛い,人の子育て。
イイ女を捨てる価値はきっとある・・・以上トドのひがみでしたー!?

2001/1/26

地球最後のオトコの子

男は横暴で攻撃的。いっぱいいてもいい事はない
子どもの頃には手がかかる

世の女たちは男にうんざりしていた

年々産み分け方が発達し百パーセント近い生み分けが
可能になると女たちは「子どもを持つなら女の子」と
生まれる子は女が多くなっていった

気がつくと事態は深刻だった
「女の子ブーム」で男の出生率が低く、数少ない男の子は
虐待の対象となってさらに数が減った
という事は適齢期の女たちに相手がいないという事だ・・・

一夫多妻制は自然の成り行きだ
男は大切にされどんなバカでも、仕事もしないろくでなしでも
男という肉体を持っているだけでもてまくった
労働はもちろん人口の大半を占める女の仕事だった

少ない男が支配するピラミッド型社会
まだ残っていたフェミニストたちは,以前よりもひどい男性社会に
怒り対策を練った。科学は女に微笑んだ
完全な人工授精。染色体Yは全てXに変換される
生まれるのは女だけだ

性革命はこうして起こり君主である男性は次々に
とらえられ獄中で死んだ
ある日最後の男が逃げた。最後に生まれた男で年齢は10歳
「助けて!」彼は叫んだ。涙がこぼれた
次の瞬間女たちは何のためらいもなく発砲した

21世紀になったばかりの頃ならば,女たちにも少しは
母性らしきものが残っていたろう
男の涙に銃を持つ手も止まったかもしれない
しかし、女だけの気楽さに酔い、男の横暴な君主に疲れて
母性が消えていた女たちに,10歳の男の子の涙は通用しなかった


地球最後の男は死に、女だけの社会になった
男と言う言葉は絶滅した恐竜と同じような意味で使われるだろう
いつしか教科書にこう書かれるに違いない

「サルから人へ,男から女へ,進化の正当な形です」と


あとがき

また息子が泣きそうな話になってしまいました(息子10歳)
(ダンナも泣いたりして?)女ばっか産んでたら男が減るぞ。
っていうか,そう嫌がってないで男の子も産んでよと思って。

最近は生むなら女の子という人が多くて、男の子の親としては
力を込めていいたい! 男の子は面白いよ。ホント。
2001/1/20

発情コントロール

けしからん!とリコールを始めたのはまず女たちだった
当然と言えば当然だ。大統領フル・フリントンの若い愛人疑惑が
発覚した。夫人のヒラリンは激怒。リコール後の大統領選に出馬し
女性ヒョウを(票。豹じゃないよ)獲得し女性大統領の座に就いた

彼女は「発情コントロール」法を提出。圧倒的な数で可決した
男性議員がなぜ賛成票を投じたか?それは彼ら自身も
妻のヒステリーや愛人の金銭要求、恋愛のデメリットにうんざりだった
しかし男の本能で理性は本能に負ける、頭の中は異性でいっぱい。
妻におびえながら愛人の元へ通う。それなら一定の期間にしか
発情しないこの方法はいいかもしれない

薬は案外簡単にできた。ホレ薬などというものは,昔からあった
反・ホレ薬というべき薬を飲みふだんは発情しないことになり
規定の時期に薬を飲まず,恋愛するわけだ。

思春期の性的な暴走もなくなり、性犯罪や売春もなくなった
無軌道な妊娠もなく人口爆発は止まった

夫婦と言えど薬の強制期間はお互いに恋愛感情はない
シットもしない。家庭には平和が訪れ,職場ではセクハラの上司も
いなくなった。こうして平和が訪れ・・・るはずだった

急上昇したのは殺人や暴力行為だった。なぜか?
恋愛関係の事件や売春がなくなったよりも凶悪犯罪の
増加はとても深刻だった。家庭や職場でも変化も起きていた
みんな怒りっぽく,人間関係はうまくいかなくなった


研究の末に出した結論は「発情」
そう、人が理性を保てるのはいつでも発情できるからだったのだ
あらゆる生物の頂点に立つ人類はエッチ度でも動物の頂点だった
「発情」を取り上げた人類は精神の均衡を保てなかった・・・・・

その後?その後はあなたの想像どうり

人間は犬・猫のような折り目正しい「発情」はできない
発情薬を廃棄した後の世界でフリントン大統領が再選されたのは
言うまでもない。かれは史上最も「健全な」大統領として
その名を歴史に刻まれた


あとがき

ちょっと下品な設定ですみません。なんだかんだ言っても
男女はしょーもない方がいいかもしれません。
まあみなさん、ほどほどに・・・
余談ですがホレ薬ってわびしいですね(あるのかな?そんなの)
薬で洗脳してるみたいで、みじめってもんです

2001/1/19

2001年 破滅の旅?

世界は2000年で滅亡するとマスコミは一斉に書きたてた
宗教界の予言を受けて科学者が半信半疑で研究した結果
(宗教は信用できないが科学は信用するという世論で)
あらゆる分野で破滅のデータがあり,どう計算しても
2001年は来ないと言う結論だった

宇宙に脱出するほどの技術はまだなく
破滅を受け入れるほどの精神的な成熟もないので
人類は大パニックとなった
犯罪、ノイローゼ,乱交,悪い行為のオン・パレードだ

迎えた2001年・・・そう2001年は来た

何も起こらなかった怒りは科学者たちに向けられた
膨大な予算で何をやっているんだ!
そうして人々は科学者は信用しなくなっていた

時が経った
世界はいくつかの宗教国に分かれて平穏を保っていた
ある時各国の預言者が世界は来年で終わると言った
人々は宗教と言う心のよりどころがあったので
(世界は宗教国家ばかりだから)慌てず最期を待った

来年は来てしまった
外れた予言に人々は科学回帰ブームとなった
いつしか世界は科学都市を抱えるようになった

科学・・・宗教 世界は何度もそれを繰り返し
人々が未来を,破滅を予測する事に疲れたその年
突然それはやってきた

空を隠すほどの大船団だった
宗教家はそれを神の怒りと呼び,科学者は宇宙人の侵略だと言った
どちらが正しいか世間は大論争となった

やがて宗教国家対科学都市の戦争になって
最終兵器が使用された・・・・・・・

そこにあった大船団の中の者たちはみんなあきれていた
「なんだ?声もかけないうちに滅びちゃった」船団は宇宙へ消えた

彼らを神の箱舟と呼ぶか,宇宙人軍団と呼ぶか
人類は「あの世」で議論しているんだろうか・・・・


あとがき

べつに科学や宗教を皮肉りたかったのではなく
戦争(個人レベルではケンカ)はマイナスだよって思ったから。
科学や宗教は信念ですよね。だから衝突しやすいと思って
主役(?)にしました。インドネシアの味の素事件などあったし・・・
2001・1・17

食人許可法

長い間動物の肉を食べてきた事の罪の深さに
ついに世界は反省しタンパク源は自分たちの体でまかなう事になった
そう,同族ならば他の動物には迷惑はかけない

全ての動物の中で最強の動物だからこその清い決断だった

最初は死体を加工していた。同族を食っていると言う
おぞましさもきれいに加工されてパッケージに入れてあると
以前の牛や豚と同じ感覚で,次第に人々は慣れていった

そのうち死体では足りなくなった。当たり前だ
一体今まで何頭の動物が必要だったんだ?
そこで犯罪者や死期の近い者が安楽死させられるようになった

人の胃袋は底知れなかった。それでもまだ需要に追いつかない
そこで社会に役に立たないものを順に「食用」指定していった
障害者,貧乏人などのマイノリティーだ

そして一握りの上流階級だけが「食用」指定を免れたが
より良い,おいしさを求めて違法ながら上流者の肉も狙われた
それはたまらんと言う事で今度は,仕方がないので
彼等の中のちょっと下級なものを「食用」指定していった
女ならブスでデブは食用にもってこいだ
かわいくないから罪悪感はないし肉の量が多い。
女たちは必死にダイエットした。骨と皮に近いくらいまで
痩せる事が「生きる」道だった

男たちは仕事での社会の貢献度で決められたから
必死に働いた。もちろん腹に贅肉はつけられない

いつしか社会はわずかの植物から加工されるタブレットが
食事となった。もう肉を食するものはいなかった
余って貯蔵された人肉は動物の為に放出された

こうして有史以来初めて人が動物に「自ら」食われたのである


あとがき

これはもちろん、ここヘンの「動物虐待」を見てひらめいた話ですが
ブスは食べても良いのか,と言う事を書きたかったのです。

どう言う事かというと知能の高い動物やかわいい動物は
(例えばイルカや犬などは食用に反対しますよね。特に欧米は)
食べたりしない。という事は人がもし食用ならばブスは真っ先に
「食用」だろうなって。私なんてうし年ですよー。もう即「食用」!?

それは牛や豚は食べていいのに、日本のイルカや鯨はダメ、韓国の犬も。
そういうある種の差別意識があると思うんです。欧米の感覚だから
根底にアジア蔑視もあるのかな?かと思うとベジタリアンが声高に
スローガン立てたり、そういうのは馴染めないなあ・・・

お食事中の方,大変失礼しました!

2001/1/11

種の永遠

医学は人間にすばらしいものをもたらした
死なない細胞(ガン細胞と生殖細胞と言われている)の研究から
ついに「死なない」という事に成功したのだ

細胞の中の「時計」の機能により生物は何回かでその命を終える
その時計を取り外して永遠に再生する細胞を得た
もちろんそれに伴って老化もしなくなった

永遠に死なないという事は、地球の人口が永遠に増えるという事だ
という事は食料問題なども出てくる,と言う懸念もあった
しかし生殖率は下降をしつづけた。ゼロに近いほどに・・・

母性とは何か?それは短命な種を存続させるための自然界の
システムである。親が車にはねられそうな時自分を犠牲にしても
かばう行為はその本能だ。
親が亡くなるのは悲しいがそれまでの事。(悲しくない奴もいる)
しかし子どもが亡くなると絶望に近い感情になる
その時に自分が生殖できない年齢ならば絶望感はなお強いだろう
親はもう種として「役に立たない」と本能でインプットされているが
子は種を未来につなげるものとして、期待を担っている

しかし永遠の生命を得た人類は違う道を行く

子どもが絶対の存在でなくなった。自分と言うオリジナルがここに
あるのだからもう生殖に意味はないし、子どもとは
自分の半分の単なるコピーに過ぎない
「種」ではなく「自分」の保存が大事となった
子どもをかばう事はもうない
若い肉体は永遠だ
自分の健康を大事しよう。
地球にとってはむしろ人口問題から子どもはジャマだ

病気や事故では,昔なら子どもを優先して助けたが
今は大人を優先して子どもはできれば死んでもよくなった

こうして地球は「子どものいない」星となって
永遠に栄えたとさ。これがホントの「神の国」かもしれない


あとがき

うちの子が読んだら泣きそうなお話です
(大丈夫だよ。うちはお前を一番に助けるからね)
知人のご夫婦が「うちのダンナは私と子どもが崖から
落ちそうなら,まず私を助ける、というの。
惚れて結婚したからお前が大事だって言うの」と以前聞きまして
それを思い出して書きました。アメリカ人も
まず夫婦ありき,といいますね。

それはそれでいいことです。大事です
日本人てなぜ「子ども」なのか?私はきっとダンナと子どもなら
子供をまず助けると思います。ダンナを愛してないとかではなく
子供は自分でもありダンナでもあるのだから
なんていうかそうなってしまう。

それと,年寄りがなくなっても(事故で死んでももう年だから
若い人でなくてよかったなんていう人はいますよね)
そんなにダメージがない、というのは
本能ですねー。それがなかったら?と思って想像したお話でした

2001/1/7

悪口禁止法の被害者は・・・

世界の平和はまず個人から。という主旨で悪口禁止法が
制定された。人間はもちろん,法人,会社,学校,宗教などの団体
や、イルカ,チンパンジーなどの知能の認められる動物
犬・猫などの愛玩動物も保護対象になった

人(と対象物)に向けた悪口や態度は全て禁止

しかし人間は聖人君子とはいかない。
苛立ちも起こる。その解消に悪口君人形と言うものも商品化され
最初は売れ行きも好調だった
・・・が・・・
どうも人は無機質なものをいじめてもつまらないらしく
そのうち売れなくなった。

だんだん誰ともなく悪口の対象とし始めたのは植物だった
禁止対象外でしかも,一応生命体だから
「生き物」をいじめたい要求にはピッタリ合った。
観葉植物のように,小さいものから
公園の大木,観光名所の森まで,全てが人間のはけ口となった

人はもう同族を憎み合う事はない。愛の世界が訪れた

それから何世代もしないうち地球の生命は死に絶えた
原因は植物が育たなくなり絶滅した事による酸素と食料の不足だった

植物の絶滅の原因は謎である(今は調べる地球の生命体はいない)
ただ,全ての生き物からいじめられて植物は
生きる力が失われたと想像できよう。
地球人は知的水準はそこそこだったらしいが
精神の成熟度は相当低かったと思う。

イラキチクルワ星人の「死に絶えた文明レポート」より


あとがき

ネットでの白熱しすぎや,ホテルのオバちゃんたちの怒鳴り声
世の主婦の噂(良くない話が多いんです)数えきれないほど
悪口はあって、それがなくなるとすっきり楽しいと思って
書きました。植物はかわいそうですがそれだけ
悪口のストレスって大変だよと言いたくて。

ちなみに真偽は分かりませんが、植物に良い音楽を聴かせると
よく育つとか、悪口をいうと枯れるとか?都市伝説? 笑

でも何十年,何百年(何千年!)もの長い寿命を持つ樹などは
本当に私は畏敬の念を持ってます。人類を超えている存在と思います

2001/1/5

平等な差別

世の中にはびこるあらゆる差別をなくすべく考え出されたのが
差別の抽選だった。宝くじのように定期的に全ての国民から
ランダムに選んだ人達だけをいじめ・差別のターゲットにする。
全ての人は一生に一回,一定の期間のいじめを受けるのだ。
「抽選による差別」は国民の義務である・・・・

その代わりその他の人に対しては一切の差別もいじめも
してはならず、違反すると一生涯差別対象とされるのだ
これは下手な罰則よりも効果的だった。
誰だって差別される側,いじめられる側にはなりたくないから・・・

障害者・老人・子ども・肌の色・体格・性別・宗教、などのマイノリティー
も,反対に政府高官や大企業のオーナー,著名人、なども
全て関係なく抽選の対象だ

肉体的な暴力以外は精神的,社会的な攻撃は何でも許された。
差別もいじめも加減しなくてもよい。
肉体への攻撃はなかったが自殺者は多かった。
もちろん「任期」まで耐える者もいて忍耐強いものを選別する効果も
あったのは思わぬ「もうけ」だった

世界は強い遺伝子の者が増えていく。
いい事だ。違法ないじめも差別もない。
人に残された恐怖はただ二つ。死と抽選に当たる事。
いつしか抽選は「死」と同じ意味になった。
誰でも訪れる,でもいつかわからない。
イヤだけど,仕方ない,そんな思いの観念だ。

年寄りが言う「そろそろお迎えの年だよ」
同じような感じで人はいう「そろそろ抽選かなあ」
「うーん,早く済ませたいよね」「うちはもう済んだのよ」
という会話が挨拶代わりになった
抽選は自然のものとなった

平等な差別。生まれながらに不平等な人間の運命を
法の手で平等に導いた功績は大きい

もうすぐ今年も終わります
来年の「抽選」に当たるのはあなたかもしれません・・・・


あとがき

自分で書いてていうのもなんですが「抽選」なんてとんでもないよね。
誰だこんな話書いたのは(自分だ・・・)
これはいじめと,最近読んだ本「被差別部落の青春」との
影響で人は平等な社会にするにはこれ?と思いました
もちろんブラックです。冗談じゃないよ、こんな世界。

でも自分もされる側の気持ちを味わう事でしかわからない事もある

書いた後で思い出したのがジョン・ハリス「サバイバル・ロッタリー」
最大多数の最大「生存」の原則に則って
抽選で健康な人の臓器を提供、多くの人の臓器に役立つのだ

パクったわけじゃないですが似ちゃった。や・・・やばい
でもパクリじゃないよー・・・

2000/12/29

婚姻廃止

結婚したら恋愛してはいけないのか?永遠の問いがある
「好きになった人に家庭があっただけ」色々な名言・迷言

よし!自由の国は恋愛から!
恋愛自由の法を作った。この無理難題とも思われた法案が
あっさり可決。それに伴って不自由な結婚制度は廃止された

恋愛法は基本は「自由」だから,相手を束縛するのが基本の
「婚姻」とは合い入れないわけだ。
だから恋愛法の中には「相手を束縛した場合の罰則」もあった

かくして不倫というものは消えた。婚姻が無いから不倫も無い。
束縛禁止法があるから嫉妬を表に出す事は無い。
一緒に暮らすことは自分も相手もお互いが束縛すると言う点で
二重の罰則があった。結婚と言う打算の無い恋愛だけの
完全に自由な世界。

子どもはいくつかのタイプに分類されて無理の無い養育をされる
もちろん親による虐待も無くなった。二十世紀末に叫ばれた
地域社会による子どもへの保護がよりよいプロの手で
実現されたのだった

これは皆自由恋愛,つまり婚姻廃止の効果だった

好きなときに好きな人と・・・。もちろん子どもは公的に
育ててくれるからなんの心配も要らない。人々は恋愛を謳歌した

・・・が子どもの出生率は激減した
原因はわからない。しかも男女とも性ホルモンが減少した。
ただ,性犯罪もゼロに近いほど減ったのだが。

唯一活発に子どもを作っていたのは
法を犯しても夫婦の形態を取って密かに同居を続けていたカップルだ
生活費に追われる夫と,家事・育児に力つき、おしゃれもしない妻
その家庭によって左右される可愛そうな子供・・・
そんなゴキブリのようなカップルがしぶとく子を生産していった

核戦争のあともゴキブリは生き残ると,よくいわれるが
ゴキブリが残る事で,地球はゴキブリの新しい進化の歴史を
たどるかもしれない。ゴキブリはなんでもありの中を
生きぬいたサバイバーだ

混沌とした恋愛自由社会を生きぬくとしたら
二十世紀には「こんな夫婦イヤだ」と言われた夫婦像が
強いのかもしれない


あとがき

芸能人の番組で「不倫」なんてやりますが
もしもこの世から結婚制度が無かったら「不倫」も無くなるなー
と単純に考えてみたのがこの話。結婚と恋愛は別説などもありますが
日本だって昔の上流社会では一夫多妻,通い婚などなど
あったんですが何が一番いいかは難しいですね。
昔契約婚なんて芸能人がやっていたけれどそういうのが
向いている人もいたり。結婚は約束ですから約束の内容は
その夫婦によって決めたらいいかなー

理想の父・母の家設立

2000xx年日本政府は両親免許制度法を設立。
これによって経歴・適性検査・経済力など
子どもの養育にふさわしい成人(結婚は二十からとなった)
のみが子どもを持つことを許可された。

しかし,法の目をくぐった貧困層はチャイルド・スラムを
いつしか自然発生のように作り
違法な不良品の子どもが増えていった。
子どもの貧苦と知能の差は以前よりも広がった。

ダメと言われれば欲しくなるし
生殖の意味さえもわからない人達はなおさら
子どもを産みつづけた。
この悪循環を止めるべく政府は「人道的な」法を
また作った。それは・・・

理想の父・母の家という施設だった。
従来の孤児院でなく,金も人もかけて
レベルの高い家の子と同等の教育をするという
まさに世界のうらやむ理想の実現だった。

子どもはチャイルドGメンによって産まれると
すぐ「理想の家」に送られた。
抵抗をする実父母は逮捕された。

そうして十年二十年が過ぎた。
スラムはいつしか年配者と老人だけとなり
その人達の寿命と共に消えるのは明らかだった。
子ども達は高い知性と慈愛に満ちた性格,社交性を
獲得し,日本はかつてないほどの清潔な国家となった。
そこには平等があった。人類が求めつづけたものが。
子ども達は成人し、政権を持ったものもいた。
そこには賄賂も汚職もない清浄な国家があった。

ある時タイムマシンが発明された。
実験で過去に行き昔の能力ある子どもを
未来で養育しようと試みた。
被験者を連れて来て,ここに留まるか
昔の汚れた当時に戻るのか,本人に選択させるのだ。
もちろん昔の世界に戻ったら
未来で培った全ては消えてしまう。

子どもは水を得た魚のように育った。
知性はもちろん,昔のパワフルな何かも
失われずに残ったままだった。

選択の日。審議官が聞いた。
「残りますか?」
すると彼女は微笑んでこう言った。
「帰ります。汚れた場所では見えたものが
ここでは見えないから。
そしてここにはたくさんの私のような人がいる。
でも,昔の世界は、私はひとりだけしかいない。」
そう言ってタイムマシンに乗った。

審議官はつぶやいた。
私たちの選択は良かったんだろうか・・・と。

神の声が返事をした。
「あなた方の世界は間違ってはいない。
完璧なのだから。そして完璧故に失うものは
必ずあるのだから。」
さらにもう少し未来。
地球上全ての国はひとつになった。
もはやそこには理想郷と言う言葉さえない。人類ははじめて「神の子」になったのだった。


あとがき

書いていて、とても切なくなったり、今の世界の混沌を愛しく思ったりしました
抽象的で何を言いたいか上手く表現できませんが、出来損ないの美点と言うのかな
出来の悪い子ほど可愛いと言うのか・・・今という時間や世界を大事にお思います

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