しょーと・ストーリー・もどき
報復の権利
「人は報復の権利を有す。それは被害と同等の分であり
それ以下でもそれ以上でもない」
これが画期的といわれる報復権だ
世界は混乱の中にあった
重なる戦争、小さな所では近所、会社など個人の揉め事まで
あらゆる場で人は争い、心身に被害を受けた
国連はとうに機能を失い世界のあらゆる機関は消滅した
もはや紛争をさばく機関は存在していなかった
長い混乱に人々は疲れ、神の裁定を望んだ
だが・・・神はどこにも見つからず(実は人間の世界に
うんざりしたので雲隠れしている、という説あり)
ならば自分たちで何とかしなければ、と
考え始めた。もとより時間が流れれば紛争の元よりは
忘れ去られ紛争そのものしか存在しなくなる
止めたいけれど止められない、きっかけが欲しい・・・
報復権はそんな中出来上がった
国家でも個人でも、被害の分量だけ報復を許可されるのだ
正体を掴みにくいテロリストや犯罪者をどうするか?
最大の課題も戦争を仕掛ける金額と労力に比べれば
その何割かで逮捕も可能になった
思えば不毛な戦争が多くあったものだ
大金が人を殺すためだけに使われ傾いた国家の数々
ここにある個人裁判記録がある
加害者Aは被害者Bを殺害
よってBの家族にはAの殺害件を与える・・・
世界中の人々は納得していった
やがて国家さえも、それに従うようになった
すばらしい。新しい法。人類の叡智の極み
時が流れた。地球人は平和を謳歌しているだろうか?
ふと立ち寄ると生命の楽園になった地球を見た
だが、人がいない?
埋もれた古文書を見ると、事を理解した
報復法・・・人はあらゆる生命を奪って生きてきた
よって同じ分量だけ命を奪われる事となった
同じ分量・・・でもきっと全然足りなかっただろう
生きていく事はそれだけでいくつもの命を殺しているという事である
仕方がない、食わねば生きられぬ、そうならば
殺戮を食う分だけ、最小限にするべきだったのだ
同胞を殺してまで戦ってまで、そうなったら・・・
そうまで貪欲になったなら、もはや生きることはできない
命の飽和状態・・・もう・・・
さらに古代のものが出てきた
ニホンの仇討ち?
ハンムラビ法典「目には目を」
なーんだ当時新法と言われた報復法も
地球の大昔からあったのだ。パクリだ
でも、やっぱり報復は何の役にも立たなかったんだろう
人のいない地球は生命に満ち、生死さえも自然の意思
地球人と同じ轍を踏みたくない
故郷の星を大事に、自分を、同胞を大事に生きよう
宇宙日記・終
**********
泥沼化していくイラク情勢(アフガニスタンもどうなっているんだろう?)
アメリカも協力国も判で押したように言う
「テロに屈してはいけない」
一見正論に思うけど、テロに屈したらなぜいけないか?
暴力で行動を、自由を、奪われるのは絶対いけない、からだろう
だが。中東の国の多くはイスラム圏で彼らの文化は
報復の文化とも言われる。やられたらやり返す・・・
悪い面ばかりとは言えない。恩もまた彼らはずっと覚えている
そんな文化を無視して民主主義、自由思想を押しつけようとしても
反発するばかりの気がする。テロとの戦い、とブッシュは言うが
もはやアメリカとの戦い・・・に世界が巻き込まれていることを
早く認めるべきである。アメリカの協力国のほとんどは
イラク攻撃をいいと思って支持してはいない
アメリカのいう事をしかたなくきいた結果だ
石原都知事が日本人外交官の殺害に怒って
もしもイラクで攻撃を仕掛けたれたら、堂々と反撃して
殲滅すればいい。日本軍は強いんだから、と
またアジアから非難されそうな発言をしたが
正体のハッキリしない敵なのに、戦争を仕掛けるのか?
米軍やその他の国の人がイラクのテロの犠牲になったが
イラクのテロリストに無関係の人も大勢、犠牲になったのを
覚えておきたい
イラクをほっておくのかという声もあるが、私は・・・中東へ
軍隊を出したくないのだ。私はパレスチナ×イスラエル問題から
ずっと、中東はそこにいる人々しか入ってはいけない場と
思っている(人権問題は戦争でなくても解決できると信じている)
考えが、違いすぎる。認めた方がいい(テロの事ではないが)2003/11/30
リフレッシュ
俺も今回は逃げ切れなかった
ちょっとしたミスで捕まっちまった
なあに大した事じゃねえ
ちょっと我慢すればまた外に出られるんだ
最近は刑期が短くなった
昔みたいに懲役10年なんて無くなった
刑務所も犯罪が増えて満員で
長く置いておけないんだろうさ
男が収監された所は独房だ
新法は集団での犯罪者の収監をやめ
完全な個人プログラムでの更正システムを導入した
それは増え続ける犯罪と再犯
集団では心理的に犯罪が加速・狂暴化する
更正しようとする者がいたとしても集団に流される
それで完全に人間を遮断して再教育しようという方法だ
個室や施設などの改変は費用もかかり
数も限界があったが、更正の期間が短縮された事で
社会全体の犯罪がみるみる減ってきたのは特筆すべき事だ
部屋は独房よりビジネスホテルと言った風情だった
驚いたな。シャワーもトイレも完備だ
壁には大きなTVもあった。なんてこったい
今日はすることはねえって?
TVでも見るか・・・おっと、電源が切れてるぜ
何日かはTVはダメだとさ
くそったれ!じゃあ置いておくんじゃねえよ
今何時なんだ?ちぇっ時計もねえのかよ
でもメシは美味かった
料理の名前なんて知らねえが
ジャンクフードじゃねえって事だけはわかったぜ(笑)
プログラムは「何もしない」事から始まる
時計も無い、窓も無い。食事は栄養と味を最大限考えて出す
睡眠時間は6時間(といっても就寝時間も自由)
消灯は6時間で窓が無いので6時間後にまた点灯する
始めにプログラムするのは・・・起床・就寝・食事の時間を
体になじませる、ただそれだけである
何日経ったんだ?
昨日までは気が狂いそうだった
一日中同じ部屋、音も聞こえない、する事も無い
音を聞きたくて、声を聴きたくて、叫んでもみた
自分の声でもいいから・・・聴きたかった
でも、今日は違う。もう狂う元気も無くなりつつある
もういい、どうでもいい、メシもいらない
ハンガーストライキ?いいや、食えなかったんだ
食欲なんてあるわけもない
殺してくれ、もう何だかわからない
涙ももう、出なくなった。殺してくれ・・・
プッ
かすかな音を俺は逃さなかった
見るとTVの画面下の電源表示の小さな明かりが
オレンジに光ってた!
TV!
無刺激の個室で体力と気力が衰退する頃
プログラムは第2段階に入る
TVの視聴・・・もちろん映るものは一般の番組ではない
更正の為の特別番組である
画面から放たれる色や光が、懐かしく思われ
ただのオープニングなのに涙が出た
俺はどうなっしまったんだ?
やがて画面は見慣れた風景を映す
どこだ?記憶がぼんやりしているが、やがて思い出す
そうだ、俺が暮らしてた街だ
汚れたアスファルトに黒いシミがある
転がってるナイフ、
ああ、俺がやったんだ
胸が熱くなってくる
早く戻って暴れたい
そこで突然画面は消えた
くそ!もっと見せろ!見せろ!
電源ごと切りやがった!!!
次に起きた時また電源が入っていた
飛びつくように俺はTVにかじりつく
今日は・・・泣いている人・・人
葬式かもしれない
するとそれらの顔がこちらを向いている
憎悪。嫌悪。泣く顔。怒る顔
俺を非難するのか
どうってこともない
・・・画面が変わる
人の笑顔
でも、俺を見るものはいない
おい!無視するなよ!
おい!ちくしょー!
俺はふと気がついた
そうだ・・・このTVから音は流れていなかった
今まで画面に夢中で音の無い事も
気がつかなかったなんて
TVプログラムはやがて受刑者の生育歴や思想に合わせて
展開して行く。トラウマを発見・矯正
むろん彼らの成育は綿密に調査の上
数日TVがつかない
見たい!TVが見たい!見たい!
するとまた電源が入る
今日は前と違う気がした
どんな映像が?
俺の心臓は大きく鳴った
音だ!しかも!人の声だ
そこに映っているモノクロ女・・・
お袋か?
見たくもねえ!
アル中であの女は俺を酒のビンで殴りやがった
男を連れてくると、凍るような日でも
家から俺を追い出しやがった
見たくもねえ風景をまた見せられた
男にしな垂れかかるお袋・・・
出ていけと俺を睨む目
何日もTVは同じ映像を流した
始めは腹が立ったが、俺は・・・
ガキの頃に戻った気分になっしまった
そしてあの日がTVに映る
最後の姿「どこ行くの?」「行かないで!」
お袋は俺を突き飛ばした
「うるさい!厄介者!」俺は隣に立つ男に
めいっぱい蹴られて路地に転がった・・・
数日TVは電源はついていたが
俺はもう見る気はしなかった
「お袋」はあれで終わったんだ
後の話は無いさ
強いて言うならそれからの人生の俺は
ここでこうしている、だけの事さ
だがTVは勝手についた
驚くと俺の育ったうちの前でボロのタクシーが止まる
俺に向かって走ってくる
そいつは・・・お袋!
顔をくしゃくしゃにしながら俺に話してくる「俺に」!
「ごめんね、もうひとりにしないよ!
もう飲まない。男も要らない。私にはお前がいればいい」
ああ、母さん!母さん・・・
規定プログラム終了。だがこの程度では構更正率はまだ低い
刷り込まれた犯罪気質を変えるには
それ以上の刷り込みがいるのである。情だけでは足りない
色に例えると、薄い色ならば濃い目の青や緑で隠せるが
茶色や黒がついているのを隠すのは簡単ではない
彼は凶悪犯でトラウマの除去の他に
ブレインウォッシュも施さねばならないだろう
それには犯罪と恐怖を結ぶイメージが必要
何日も経ちました
今日初めて他の人たちと食事をしました
皆挨拶をしてくれました
僕も挨拶を返しました
しばらくこうして集団生活に慣らして
いよいよ外に出ます
不安ですが、仕事も用意してくれて
皆と同じ施設で働いたりでき、寮もあるそうです
僕はもう悪い事はしません
天国のお母さんと約束したから。
お母さんは僕が立派な人になることを願って死にました
それに、わるいことをするとジゴクに落ちてしまうから。
では、色々ありがとうございました
僕は一生懸命働きます
密室で確実に人は壊れてゆく
壊して、再生する
再生のために、壊すのだ
一部の人権団体がこれを知って抗議しているが
自我の無い善人と、自我がある悪人の
どちらを社会に放すか
よく考えて欲しい (以上インタヴュー終り)
*****
いかにも「時計仕掛けのオレンジ」みたいな話で
申し訳ないですけど(苦笑)最近の若者の犯罪は
集団というものがポイントに思えたのです
リンチ殺人などはひとりならここまでしなかったかも。
なのに集団心理で暴走してしまう
ひとりではしないのに、仲間につられて万引きするとか。
で、よく考えれば刑務所や少年院って
集団生活でしょう?犯罪した人ばかりが集まって
本当に更正できるのかなあと疑問に思い始めました
個室に閉じ込める・・・退屈は最大の拷問といいますね
カルト宗教などで監禁で心身を衰弱させると洗脳しやすくなる
という手法が使われ、それがヒントになりました
仕事の時もそうですが、ひまだと時間が長く感じますよね
仕事は少し忙しいくらいの方がいい(笑)
凶悪犯を洗脳・・・人権というならやっぱダメか
洗脳こそ犯罪と言えるかもしれませんが
最近の犯罪は凶悪で残酷に感じます
被害者には人権はなくやられてしまうから
その無念を思うと、洗脳なんて発想をしてしまいました
犯罪者と成育歴は大きな意味があると思います
特に母親の影響は大きい・・・
先日友達と話した時、この話のネタを言っていたら
洗脳に母親のイメージを持ってくる案を出したのは彼女です
彼女はお母さんと生き別れ、数えるほどしか会えないまま
お母さんを亡くしました。だから「私は一生マザコン」と
語っていました。自分も子どもを持って解放された部分と
飢餓の部分とが混在している(本人の弁)2003/10/9
贖罪の国
私がこの国へ着て1ヶ月ほど経つだろうか?
見知らぬ世界でもはや救出も期待できない
死を覚悟している。その前に
この国の奇異な文化を記録しておこうと思う
船が漂着した時、ハッチをこじあけて誰かが救出してくれた
私は意識が無かったのでその時の事は全く覚えていないし
その頃彼らの言葉はほとんど理解できなかったので
詳細はわからない。だが善意ある彼らのおかげで
暖かい保護を受け、体も回復したことは確かだ
暖かい食べ物、心地よい寝台・・・
何よりも癒されたのは人々の笑顔・・・である
漂流し先の見えない私にとって、それは
(わかってもらえないかもしれないが)生きる希望とでも言いたいほどだ
体力も回復し外を歩けるようになって
(ずっといてもかまわないと、部屋を提供してくれていた)
街を歩いていると、奇妙な光景が目に入った
ひとりの男が鎖で縛られて、左右を屈強な男たちに挟まれて
歩いていくところである
それは地球で言うところの「警察」に連行される犯人という感じだったが
なぜか連行している警察(と便宜上言っておこう)も
犯人も穏やかな、波の無い水といった雰囲気だった
それが、とても奇異だった
私は街の人に聞いた「あの人は何かしたのですか?」
すると「ああ、外から着た人だね。あれは贖罪の者だよ」
「彼はどんな罪を犯したのですか?」
「?彼は清い者だ。何もしていない。だからこそ贖罪の者なんだ
彼の命で罪はひとつ許される」命で・・・それは処刑という事だろうか?
罪も犯していないのに、なぜ?
私はこの国の得体の知れなさを初めて感じ怖いと思った
部屋に戻ると、温かいスープを持ってきてくれた
ずっと世話をしてくれている娘だ。彼女はひとりでこの大きな家に
住んでいる。両親と2人の兄弟は亡くなったと言う
とても良い子だが、家族が全員いないと言う事はきっと淋しかろう
彼女のやさしい笑顔を見ながら、とりとめのない話をした
私のいた地球の話しを始めた時彼女は驚いた顔をした
「それでは、罪を犯したものは自分で罪を償うの?」
「もちろんだよ?他にどんな方法がある?
金は全てじゃあないさ。モノでなく人を傷つけたり殺めたりして
金品では決して許されはしないだろう?
地球の古い文明でこんな法が作られた。目には目を、歯には歯を
つまり罪を同じ重みの償いをせよという戒めさ」
彼女はそれを聞いて柔和に笑った
「それはそうよ。だからこそ贖罪が必要なんじゃない」
贖罪?街で耳にした奇異な言葉
私は彼女に尋ねた、その意味を・・・
******
システムは単純だ。だが地球の理論とはかけ離れすぎて
私の中で消化できなかった
これを、どう地球の人間に説明しようか?
例えば自分の子どもが罪を犯す
殺人とか思い罪を、だ
その時親はどう思うだろう?
出来れば自分が代わりたいとか
人さまを傷つける前に戻りたいとか
自分が悪夢を、ただ見ているしかない傍観者だということが
つらいだろう
自分が代わって刑を受けたい
時を戻したい
愛する者に代わって・・・
それが、この世界では現実のシステムとなっていたのだ
私が漂流の果てに狂気になったと思うかもしれない
(いや、それが普通の感覚だ)
だが、ここは、そんなシステムでユートピアのような社会が実現している
******
私はすっかり冷めたスープを口に運んだ
味など、わからなかった
私はゆっくり口を開いた
「では君の家族は・・・」
「そう。私の贖罪に逝ったのよ」
彼女は「罪の者」「罪の芽を持つ者」であった
当局は彼女の「贖罪者」を勧告
父が・・・母が・・・家族が・・・それに従った
贖罪者のいない場合は?自分で贖罪者になるのだろうが
罪ある者自身の贖罪では罪がうまく浄化しない
つまり被害者が戻っては来ない、時が戻らないのだ
罪なき清き者の「罪を悔いる心」が原動力となるから・・・
彼女は静かに言った
「また当局が勧告してきたの。私はまだ罪が静まらないらしいわ
誰かを探しているの。私のために贖罪者になってくれる人を
だって、私死にたくないのだもの
家族の贖罪で、私は罪がないの。だったら生きていてもいいでしょう?
贖罪者は誰でも良いわけじゃないの。私が愛して、私を愛してくれる
そんな愛がなければダメ」
私が彼女の贖罪者を申し出るまでに時間はかからなかった
遠く漂流しもう地球へは帰れないだろう
ちょっと早く命を終えて、それが癒してくれた娘の為と
この世界の為になるならば・・・・・・
彼女は至高の微笑で私を抱きしめた
ハレルヤ!祝福のラッパが聞こえる
ラッパの音が頭から離れると部屋の外で重い靴音とノックがした
神が御子をこの世につかわされたのは
世を裁く為でなく、救うためである ヨハネによる福音書より
**************************
長くて暗い話ですみません(って、いつもか 苦笑)
ニュースでは沖縄で中学生が同じ中学生にリンチ殺人(いじめ殺人)されたり
長崎の4才児殺害事件でも中高生の可能性が浮上しています
中学生の息子を持つ親としては、本当にイヤな気分のニュースです
特にリンチ殺人はありえそうで心配です(いじめってどの学校にもありそう
幼児殺害はそういう性癖はめったにないでしょう?)
学校がいじめはなかったって?実際被害者は死んでるのに?
もしも自分の息子が何かやってしまったら、私は動揺するでしょう
それでも、何とか生きて罪を償って、更正して欲しいと願うでしょう
一方で被害者を思うと(その家族も)申し訳もなく
自分がその立場だったらと、苦しむでしょう
すると・・・自分が罪を償いたい
自分の命で子どもを更正させて、被害者を元に戻したい
という魔法のような事を想像してしまいました
そんな単純な話だったんですけど、重くなっちゃいましたね
2003/7/8
ざしきわらし
ぼくのクラスはイマイチいい感じじゃあなかった
みんな目前に迫った受験に気を取られてる
前みたいに、本屋でマンガを立ち読みに行ったり
ゲーセンでポテチを食べたり(お小遣いが少ないからけっこう
ゲーセンなのにやらないで人のやるのを見るだけだったりする)
学校の近くの猛犬注意の家で門を開けている時
どこまで近づけるかゲームなどなど
そんな大事な事は誰もやらなくなった
お前まだそんな事したいのかって?
ぼくはそんな子どもじゃないよ
でも、出来ないとやりたい、そんなもんだろ?
朝登校しても、おはようは義務っぽい
早くもサラリーマンかよ
隣の席のA子は日曜日隣町の老人ホームでボランティアしたらしい
でもそいつ「これで内申いい感じ」と平気でいう
先生に媚びているくせに「**先生って3流大卒だってさ」と
バカにしている
クラスはこんなやつばっかりだ
こんなだったらいっそキカイにでも教わって
クラスメイトなんていらないや
***
期末テストも終わって後は夏を待つばかり
と言っても夏休みはみんな塾でスケジュールいっぱい
部活なんてスポーツ特待を狙うBくらいで
あとは始まる前から行く気もないらしい
そんな中転入生が来た
自慢じゃないがここは途中で入れるほど甘くないはず
よほどデキるんだろか?
一番後ろの席にそいつは座った
授業が始まっても、うわの空
晴れていると眩しそうに外を見ているし
雨が降っていると手を窓から出してはしゃいでいる
こいつはバカじゃなかろうか?
でも、なんでウチの学校に?
ぼくはちょっとだけ混乱した
でも、すぐ平常心さ。バカにかまっているひまはない
ぼくは勝ち組になるんだから
放課後塾へ向かって歩いていると
転入生がついてきた
話す気もないから無視してどんどん歩いたけど、ついてくる
ウザイから文句を言おうと振り向いたら
道路の隅をじっと見ていた
「何だよ?」つい声をかけたらやつはうれしそうに指差した
水溜りにはおたまじゃくしがいた
こんな汚い場所に?
お父さんが「もうこの辺にカエルなんていないよなあ」なんて言っていたけど
へー!いるじゃないか
田舎の親戚のおばちゃんの所で小さい頃カエルを取った事がある
グニュグニュした感触が面白くて触っていたら死んでしまった
かわいそうにと大人は言ったけど、本当に面白かったんだ
あと水路にわざと入ってみたり
叱られるような事が楽しかった
おたまじゃくしに見とれていると、もうやつはいなかった
でもその日はなんとなく楽しかった
次の日学校へ行くと何となくみんなヘンだった
でもいやな感じじゃない、うーん、小さい頃たむろしていたみたいな?
隣のいやみなA子がこんな事を言った
「小さい頃正義のヒロインになりたくってさ、魔法の杖を買ってもらったんだ
気に入って大事にしたけど、遊ぶ時間ってなかったなあ
幼稚園から勉強してたもんね。なんかもう、思いっきり
杖を振ってみたい感じ。悪い人は許さないわよっなんてね」
ちょっと照れていたみたいだ
言えなかったけどぼくは思った
「家に帰ったらやってみればいいよ」って
何だかみんなヘンだった
ヘンな一日は過ぎていった
あれ?後ろの席がなぜ出ているんだろう?
余っていて使ってないはずなのに?
みんな不思議がっていた
さーて。もうひとがんばりだ
この夏が頑張りどころ・・・
でも、たまには、遊んじゃおうか?
振り向くとクラスのみんながお互いに見ていた・・・
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見え見えのお話ですが、息子を見ていると本当にイマドキの中学生は
忙しい。息子はまだのんびりしているけど中には毎日塾(部活の後で)
で休日も塾と、まるで生き急いでいるかのような子もいます
どの子もがんばっていて、なんというか、息抜きしてねと言いたいです
がんばれー、でなくがんばるなー・・・です 2003/7/8