絵本と言うにはタブーの領域「死」を設定している一冊
病気の男の子トマは毎夜熱帯の島へ飛んでいく
トマと対話するモーリスは亡霊だが、彼はトマの味方だ
トマには答えを知りたい問いがある「無限とは何か」
正確には無限の終り、無限のそのまた無限とは何か、という問いだ
トマの毎夜の冒険の中で甘美な歌声が聞こえる・・・その正体は?
(結末はご想像にお任せします)
無限の終り・・・それは子どもには当然の問いなのだ
小さい頃合わせ鏡をするとそこに映るのは果てしなく続く四次元の
世界への道であったし、友人には霊界への近道でもあった
鏡の中の消失点はこの世界の限界であり次の世界への布石だった
同じように宇宙の果ては光速の壁の彼方という事を聞いた時
ほら!宇宙に果てがあったのだと、果ての確認を嬉しく思った
さらに宇宙は卵の中になった卵・・・のようになっているのだと
読んでそれなら果ては?ビッグ・バン説を聞いた時も
それではその前は?そして終りは?終りの後は?
子どもの問いかけにも終りは無い。子どもである限り問いは続く
問いを持たなくなった時それは、大人世界にいつのまにか移行して
いた自分に気がつく時だ。あなたは大人何だろうか?
毎夜画面に向かっているあなたは、きっと永遠の子どもに違いない
死とは何か・・・トマの問いかけの二つ目だ
死とは終り、肉体の終わり?いやそうではない。死んだかのような
肉体は様々な小さな命のうごめく誕生の巣となる
昔の人は死後数日は肉体の腐敗のさまを見てこの世とあの世で
魂がさまよっていると思い色々な儀式を施した
(日本でも魂静めの儀式があったようだ)その時その肉体は
まだ生きていた。人々がそう思う限り死はないのであった
今は?死とは何か。心臓停止、呼吸停止、脳幹の壊死・・・など
総合的な肉体の死を「死」とする。その人の細胞の一つ一つや
生き残ったの思いなどは「始めから存在しなかった」のだ・・・
それが現代の死。死はただの機能停止。だから死は無い、生も無い
無限、それは死に向かって、それを越えた時に得られるのかもしれない


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