天女の羽衣
そして、少女の命の灯は消えた
両親は嘆き悲しんだ
もうこの世界に二度と朝はやってこないのだ
その時両親にかけられた言葉は 驚くべき事だった
全身を病魔に侵された子どもがいます
娘さんの体を もらえませんか?
娘さんはよみがえります
かわいいそのままの姿で・・・
しかし記憶や思考は、よそのお子さんだけれど
このままでは娘さんは地に返るだけです
両親は体を提供する事を許した
月日が流れた
町で見かけたのは愛しい娘 その人であった
思わずかけより手を握る 暖かい感触に涙がこみあげる
「おばちゃんだあれ?」
不思議そうに見上げる顔は 血肉を分けた娘・・・
しばらくしてやんわりと娘は手を振りほどいた
そして後ずさりすると一目散に駆け出した
その先には・・・両親らしき人の姿があった
娘は大きな声で言った
「おかあさーん!待って―!」
お母さん・・・それは自分ではなかった
見知らぬどこかの人であった
私たちの娘は死んだのね?
私のあの子は・・・いないのね?
母親は泣き 父親はもう見えなくなった娘の方向を見つづけていた
何も言わず二人は歩き出した
行く先は 愛する娘が眠る墓地
今日もあの子が好きだったチューリップを買って
墓前であの子の好きだった絵本を読んでやろう・・・
************************************************
自分で書いて泣いちまったぜ(笑)
臓器移植という事で、もしもこれからテクノロジーが発達して
体そっくり丸ごと使えるとして(脳だけ替える、なんていうホラーもあった)
そんな時人はどう思うかと、想像したのです
自分の好きは人が生前の姿で「別の人格」で生きていく
それは辛いには違いありませんが、肉体だけでもこの世に存在すると
慰めになる・・・?かなあ?
いえ、きっと肉体プラスその人の「こころ」のふたつが揃って
初めて「ひと」といえるのかもしれませんね
と書いているけど基本的に移植賛成派です。いいことじゃないけどね
できれば人工の臓器がもっと発達するといいな
出会い系サイト 家族探し
わたしは長い間父親を探していた
わたしを捨てて出ていった父は 要らない
でも わたしを欲しがってくれる父は いて欲しい
あるサイトにこんなコーナーができた
「仮想親子、兄弟 あなたはひとりじゃない」
父親が欲しい人、の欄に登録する
メッセージ「小さい頃父親に捨てられました
音楽を愛するおしゃれな父で
娘を愛してくれるやさしい父 求む」
自分で恥ずかしさを覚えつつも
そこにいなくなった父親の代わりに
愛してくれる人を探して、書きこんだ
数日後いくつかのメールが届いた
なんとなく男女の関係を求めるような怪しい文面が並ぶ
わたしは失望しかけた。その中に一通だけ、こんな文があった
「捨ててしまった娘がいます。いまさらもどれはしませんが
気持ちの行き場がありません」
わたしはそのメールだけに返信をした
音楽が好きで若い頃バンドを組んでいたと言う人
放浪の旅に出て奥さんを泣かせたという
その人はもしかしたら、本当にわたしの父かもしれないと
いつしかわたしは考えるようになった
月日が過ぎた。わたしは本当の父の正体を知りたくて
こう書いた「あなたは本当のお父さんですか?」
返事はこないまま数日が過ぎた
バカな事を書いただろうか?
この広いネットの海で実の父とめぐり合い交流する事など
あるはずも無い、また、他人にこんな問いかけをして
その人はどんなにか困っている事だろう・・・
反省をしたわたしはまた、メールを打った
思わぬ返事が届く
「お会いしましょう。心置きなくお話しましょう」
指定された公園に行くと・・・一人の女性が座っていた
他には誰もいない。わたしは不思議な気持ちで女性のところへ
歩み寄っていった。なんと言って良いかわからないまま
そっとこう言った・・・お父さん?
その女性は微笑んでうなずくと、ベンチに座るように促した
女性の話は・・・水彩画のように、あるいは外国の小説のように
わたしの頭にゆるやかに、流れ込んできた
さらさらと水が流れるような、彼女の声
公園の木々のざわめき・・・・・時は止まり、戻ってゆく
そんな気さえするほどに、彼女は自然にそこにいて
わたしは、ああ、この人はわたしのネットのお父さんだと思った
彼女には愛した人がいた
若い自分は愛だけ思っていた
世界には自分と彼しかいないと思った
男には妻も子どもも老いた両親もいたけれど
ある日彼女の思いは届き、男は彼女を連れて町を出た
小さな家を借りて暮らした
数年間、夢のような恋人との暮らし・・・
ある日夕食を作って待っていた彼女の元に
男は帰って来なかった
数日後届いた手紙の消印はもとの町でもなく
知らない場所であった
君と暮らしたことは忘れない
愛している
けれど、わたしは家族を忘れる事はできない
でも、いまさらもどれはしない
君も、家族も不幸にしたままで、生きてゆこうと思う
君は自分の幸せを考えたまえ
自分の愛する人を見つけて、家族を持ちたまえ・・・
愛する家族・・・新しい愛する人?
彼女はできなかった
これからどう生きたらいいの?
そんな迷いの中ネットで見た伝言は
父を求める声であった
家族・・・そう、家族を持とう・・・
家族と恋人の間で苦しみ、去っていった男の代わりに
家族を・・・愛そう・・・
彼女は話し終えると、黙った
さらさらさら・・・木々のざわめきが心地良い・・・
少したって、静けさを破って
遠くから子どもの声がしてきた
数人の子がブランコに、砂場に、となだれ込む
彼女は立ち上がった
わたしの肩を抱いた。静かに泣いている、そう思った
彼女は微笑んでいたのに、そう感じたのはなぜだろう
わたしはそっと言った
「お父さん、ありがとう」
わたしは彼女にそう言うと、公園を後にした
小さくなっていく彼女の影に手を振りながら・・・
それから二度とわたしは親子探しサイトに行く事は無かった
わたしは捨てられたけれども、愛されなかったわけじゃないかもしれない
そんな思いを抱き始めたからだ
彼女はどうしているだろう?
今でもネットで子どもを探しているのだろうか?
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出会い系親子探し・・・なんて本当にあったらこのネタ、マズイですが
ないよね?設定はわたしで亡くなった父親をイメージはしました
父親の不倫と言うよりも、愛されていたかどうか、というのが
本当のところ知りたかったです。もう死んじゃったので聞けないけれど。
最近思うんですが今父が生きていて、メールなどできるのなら
色々話したいことなどあります
女好き、おしゃれ好き、音楽好き・・・そんな父は魅力的だと思うから
ってこれ、完全に良いように解釈していますね
最近ファザコンね(笑)
ココロのセキュリティーソフト
世の中は乱れている
テロにリストラにキョニュウ病(漢字はご想像にお任せする 笑)
自分にしても会社とうちの往復で1日が終わる
うわべだけの友達、ウルサイ近所のオバさん
ネットではウソ八百が飛び交っているし
もう、人生に楽しい事なんて何も無い
他人に気を使うのは真っ平だ。誰も私の心に入って欲しくない
今日も1日が終わった
後は風呂に入って寝るだけ・・・いや、ちょっとだけ
ネットを覗こう
ウソの世界だとしても、覗かずにいられない
そしてそんな自分にまた嫌悪感を覚えるのだが・・・
いつもの他愛ないBBS
するとこんなメッセージが書かれていた
ココロのセキュリティーソフト(フリー)
効果:外部からの不快な感情をシャットアウト
ついでにケアもいたします
って絵に描いたようなアヤシイ文章だった
いつもなら無視するのだが・・・
いまさら自分に何か起こってもどうだというのだ?
別に殺されるわけでもないし、最悪キカイが壊れるか
騙されて何か送ってくるか、そんなとこだろう
このけだるさ、つまらなさを、解消してくれるなら
アヤシイとこでも覗いてやろう・・・まあ期待しないが
・・・クリック・・・
そこには何も無かった
くそっ!何がセキュリティーだ、ケアだ
バカヤロー
いつもはおとなしく眠る時間になっても腹が立って
私は夜の街へ出た。ひしめく人・・・人・・・人
何故こんなに腹が立つのか自分でもわからない
でも本当はいつも自分を閉じこめて、怠惰な、静かな、自分を
世間に見せていたに過ぎないのかもしれない
そうだ!本当の自分はこうなんだ
怒れる自分
エネルギーが体を駆け巡る気がした
何も恐くない
今までだって恐くは無かった
失う物が少なかったからだ
でも今は違う。何も・・・恐くない、そんな気がする
失う物はもう無い。私は何も持っていない。自分さえも。
路上で髪の赤い若者と口論になった
私は若者に飛びかかった
若者はひらりとよける、仲間が私を捕まえ、殴りかかった
遠のく意識
私は自由になる
私の他には誰もいない世界へ
そこには誰もいない
ココロのセキュリティー・・・
いまこそ自分はすべての者から守られた安住の地へ向う
誰が作ったか、そのソフトは
他人から人を守ってくれると言う。永久に・・・
***************************************************
何ともイヤーなショートですみません
何しろニュースが暗くて暗くて・・・
まあ、何を言いたいかというとこんなご時世で
人も信じたく無くなりそうだけど、人はつながっていて
それを大事に思おうよ、と言おうと思いまして(言ってない?
まあ文章下手なんで お許しを)
それにしても色々なフリーソフトありますねえ
お役立ちのソフトがタダなんて・・・ありがたや・・・・・
実用でなく遊び心のソフトも良いですねえ
コンピューターウィルス
細菌テロなどと騒がれているが
それに比べてネットワークのウィルスはダメージが大きくても
生身の体を侵すわけではない
私のような個人のキカイが最悪壊れても
着るだけでダイエットになる下着
お肌を20代に戻す化粧水
芸能人の***が持っていたのと同じバッグ
など、はっきり言ってクズになってしまうような
品物が買えなくなったり
夜な夜な「26歳、そろそろ結婚したい家事手伝いの女」に
化けてBBSに出没することができなくなったり
(もちろん現実はブラス、ウン十歳)
と、電気の無駄使いが無くなるだけである
ある日メールチェックしていると白いメールが着ていた
ああ、これはウィルスであるとドンな私にもわかった
Look at Meって・・・おかしくて笑った
ん?Read meとはよく見るがこういうのって?
アヤシイと思いつつ開いてみるとそれは映像だった
漆黒の闇のようだったが眺めていると微妙な色合いで
そのうち目が慣れてくると画像が浮かんできた
それは・・・天使のようでもあり、人間の男のようにも見えた
結局キカイに何のトラブルも無かったらしいので
メーラーを閉じた
翌日。何故か気になって昨夜のメールを見てみた
するとおぼろげな画像が、少しはっきりしていった
それは懐かしいような、顔となり、私は見とれた
初恋のあの男に似ている?それとも若い頃追っかけを
していたアイドル?こっぴどく振られた顔だけの男?
でもその顔はやさしく私だけに微笑むのだった
キカイに触るたび彼の顔を見るのが日課となった
それは日に日に私を虜にし、やがて仕事を休み始めた
一日彼を眺めて過ごした。あんなに食べることが好きで
肥え太っていた私の体はどんどん痩せていった
私は思った「彼の声が聞きたい」
どこをどういじっても「声」は入っていなかった
数日後メールが届いた
タイトルがListen to me
私はドキドキしながらそれを開いた・・・
数日後私は隣人によって遺体で発見されることとなる
もう、もういいのだ・・・
***************
メディアは一斉にこんな記事を載せる事となった
「謎のコンピュータ・ウィルスは人に感染?」
自殺者が多数出たが、共通点はメールであった
画像ファイルや音声ファイルしかないその中身に
彼らがどう反応したかは未だ謎で分析結果を待たねばならないが
多分催眠効果やサブリミナル効果などではないかと当社は予測
救命された人たちは二分されている
メールで「もうこれ以上ない」という至福を味わったと言う者
同じく「これ以上耐えられない」という絶望を味わった者
どちらにとっても生きる意味をなくすものを
そのメールに見たのだろうか・・・?
**********************************************************
えー、いつも暗くてすみませんがうっとおしいアヤシイメールが
来る度に思うのです。ウィルスって言っても人に感染しない?
いいえ、不快感は感染しているのですよね。
で、気にしやすい人がウィルスのせいで落ち込んだらそれは
立派な「感染だ」と思いまして・・・無理やりな設定(笑)
つまり一言。キカイのウィルスも人に感染
私は苦悩していた。ダメな人間,ダメな性格,容姿も醜いし、才能も無い
毎朝の電車は拷問の箱で,人々の視線が私を刺す
まあ、あのひと!すごいブスね
なんだあの女は・・・100万円積まれても抱きたくねえ
暗そうな人,陰気さが顔に出ているわ
どうもトロそうだ・・・
人々は無言で立っているかのようだが,本当は私を笑っている
私にはわかる 電車が揺れる度に,私が転ぶ事を皆が願っている
私が大失敗をしてこの車内の沈黙を破る事を皆が期待している
家に帰る 暗い部屋に明かりをつけると以前置いてあったテディーベアは
もう無い事に気がついた。あんなに好きだったのに,手放したのは・・・
新聞の集金人にお金を払っていた時
彼の視線はテディーベアにあった。彼はこう言っていた
こんなクソみたいな女に似合わない・・・無言の瞳の奥で私を笑って
鏡を見る 目も鼻も唇も・・・みんな嫌い
お世辞を言う人もいる「あなたはキレイだね」「美人だね」
そう思ってもいないくせに!
彼らの本当の、心の声が私にはわかる
辛い人の視線が辛い 私はどうしてこうなんだろう?
世の中には美しく明るく,皆に愛される人もいる
そういう「幸せの分量」はきっと決まっていて、その人たちが
ひとりでいくつも取ってしまうから私の分が無くなるのだ
憎い・・・人々が・・・私が・・・
目覚めると私は森のような所にいた。毛に覆われた体は獣だった
お腹が空いた・・・食べ物を探して森をさまよう
目の前を通り過ぎる野ウサギ 私はすかさず追いかけた
牙を伝って喉に流れる甘い血の味 私は食べた
私に出来る事,しなければならない事、それは食べる事だ
夜の森はまた一つの敵の目覚めでもある
ウトウトと眠ろうとすると私の中のセンサーが鳴り響く
飛び起きるとそこには毒を持つ蛇がいた
じっと息を凝らす アドレナリンが上昇していくのがわかる
もしも攻撃されたら,私は身をかわせるだろうか?
それともよけられず噛まれて毒が体にまわり死ぬのだろうか?
私にに出来る事、しなければならない事、それは敵から逃げる事だ
そうして森の時間は過ぎてゆく
どのくらい経ったのか、わかるはずもないし、わかる必要もない
ある日私は自分が走れなくなった事を悟った
自分の倍はあろうかという大型獣がやってきたが、もう
逃げる事は出来なかった。私の体に彼らの牙がささった
薄れゆく意識、血液の流れる感覚・・・でもそれだけだ
私のできる事はもう何も無いし,考える必要も無い
私の肉体は彼らに吸収され、残りは腐り大地に吸いこまれてゆく
何も考えなくていい,何も怖くない,言葉さえも要らない
人がいない森の中で人でない自分
こんな世界で私は,生きたいのか・・・?
耳をつく電子音が鳴った
6時・・・いつもの目覚ましが鳴っていた
ああまた,私は行くのか?人々の無言の嘲笑の中に?
鏡を見た,いつもの醜い私が映る・・・いや
一瞬私の目に見えたのは美しい獣であった
森を走り獲物を捕らえた鋭い爪と牙をもった野獣
それは平凡な何も無い私の中に,息づいていたのだ
引出しから工具を出す 小さなハンマー
私は鏡に向って振り下ろした
砕ける銀の破片はあの森の中の風景のように美しかった
ハンマーを投げ捨てると玄関へ向った
私は笑った
さあ,行こう・・・邪悪の森へ・・・でもきっと
私は負けやしない 私の中にはあの獣がいるのだから・・・
**********************************************************
うーん、前向き(笑)ちなみにこの獣とは豹か狼をイメージ
して書きました。マサカと思うけどこのあと主人公が
ハンマー持って街中で暴れる・・・なんて想像しないで下さいね
鏡を割ったのは自分自身の弱さの(象徴である外見)打開の為
一応この子は客観的には実は美人、しかし本人はコンプレックス有り
という設定(笑)前向き前向き うっれしーなー♪
風景画
私はいつも怯えていた。姉は聖女のように微笑み
抱きしめてくれる時、優しく頭をなでてささやくのだ
私の可愛いシャーラ・・・シャーラとは姉が引き裂き捨てた
大きなフランス人形だった。姉のだいすきなシャーラ・・・
そして、姉が自分の全てを解放する時間私は時が過ぎるのを待つ
容赦なく振り下ろす美しく整った爪で顔を傷つけられたり
どうしてこの細い腕で?と思うほどの力で殴られる事は
ちっともつらい事ではない
私がツライのはただ一つ 姉の瞳に移る私が彼女にソックリ
だという事だ。やがて姉は痛みにうずくまる私を見て
満足そうに眠りに落ちる。その顔は天使というにふさわしかった
壁に掛かっていた母の絵はいつのまにか外されていた
父か父の妻か、わからない
姉を狂わせた一つは母の絵が消えたと言う事にまちがいない
だが私は言い出せなかった。お母さまの絵はどこ?と・・・
私の宝物・・・姉と私をそう呼んで抱きしめた甘い香りは
いつのまにか消えていった。母が何故私たち姉妹を捨てたのか
何故あんな風采の上がらない男と逃げたのか
今は聞く事もできない
けれど「愛している」という言葉をかけた人がいなくなるのなら
やさしい言葉は要らない、抱きしめる手もいらない
姉の狂気、暴力・・・それは彼女が母を愛していた証拠で
姉はまた私から逃げたりはしない。私はそんな姉を愛し
そこにい続ける姉が必要なのだった
姉の瞳の中の私・・・
姉の悲しみは私の中にも・・・私たちは共有している
血や体ではない、強い「想い」というものを、だ・・・
廊下から話し声がした。父と妻だ
「あの子は治らないのね、病院に入れてちょうだい
あの子の為にもなるのよ。私ももうガマンできないわ」
父は沈黙の跡言った「そうだな、もう潮時かもしれない」
はっとして振り向くと姉が立っていた・・・
見た事も無いほどの悲しみがそこにあった
母親に捨てられた私たち・・・でも姉は今また父親からも
捨てられるのだ
怯えて部屋にこもる姉・・・私は無理やり中に入った
と同時に振り下ろされる何か・・・額に生暖かいものが流れる
床は鮮血に染まる
薄れゆく意識の中で私の目に映ったのは壁の風景画だった
そこにはかつて母の絵があった。代わりに誰かが掛けた風景画
のどかな・・・静かな・・・風景
ああ、そこへ行きたい。きっと母がいる、私たちを待っていてくれる
絵の中に・・・行きたい・・・
姉は倒れて私を見て抱きしめて泣いた・・・
もう唇も動かない私だったけれど、姉にこう言った・・・
姉さん、行きましょうあの、絵の中に・・・
姉は私の閉じた瞳にキスをした
しばらくして人が床の血痕を見てざわめき始めた
姉妹の失踪?いいえ私たちはここにいる
半分しあわせだ。やさしい姉、のどかな風景
あとは・・・母が来てくれたら嬉しいのだけれど・・・
絵の向こう側のざわめきももう、興味は無い
私たちはここで幸せになろう。
「パイが焼けたわよ」微笑む姉 私は姉のところに走っていく・・・
*********************************************************
複雑な家庭の子の話を聞いて色々考えていた折
暴力を受けていてその子が葉書の絵を見て
「絵の世界に入りたい」と願ったと言うのを聞いて書きました
ちょっと無理やり。設定が姉妹なのはまあ、一人っ子の自分は
兄弟(姉妹)というものを書きたいからで、母親に捨てられた
というのはまあ、私の死んだ親父を母親に設定してみました(笑)
人は他人(親も含む)から見捨てられたと感じる時絶望するのでは
無いでしょうか?無償の愛などと言うけれど、要するに何であっても
お前が好きだよと言う事。うーんムスコはこれだ!え?ダンナ?
ダンナは有償の愛(見返りって? 笑)昨日のケンカで格下げ!
女の楽園
新世紀は不景気で始まった。失業などはまだ序章であった
物が不足し始めると、仕事はもとより、食さえもままならなくなった
飢える人々、教育などにかける金は無く、国民の今日の食の確保が
政府に出来る精一杯の事であった
世界中同じような状態で日々の食は力の強い者が多くを得るという
サル山方式になっていった
ボスザルとなった人は食だけでなく女性も力で囲える
体力で劣る女性たちは段々と昔のように、男性の従属物となった
美しい女性は男性に庇護され(道具ではあるが)
出産までは大切にされるが、出産が終り美しさも、若さと失われると
捨てられた。美しくない女は苛酷な労働や、男性のフラストレーションの
発散の為に意味の無い暴力の的になり死んでいった
また、考える能力のある女は危険と判断され少しでも知恵や機転があると
見なされると処刑された
こんな苦渋の時代が続いた後・・・・・・
女たちは少しづつ逃げて、人の住めないと言われる極寒の地に集まって
いつしか小さな街が出来た。始めはキャンプ程度のものが段々広がり
ついには国と呼んでもいい規模になった
噂は流れて女たちの逃亡は続いた
もちろん、男たちも黙っているわけにはいかない
兵を募って女の国を滅ぼし、首謀者をひどい目に合わせてから処刑し
美しい女はさらおうと計画していた
パンドラ計画・・・それは来るであろう男たちへの対抗措置であったが
人類そのものの存続を危険にさらす物であった
XY染色体だけに反応する強力なウィルスは女たちも無傷でいるかは
わからなかったからだ。しかし、もう他に方法は無い
かくしてパンドラの箱は開けられた・・・
男たちが死に絶えるのはそう時間はかからなかった
女たちは生き残った。みんな胸をなでおろした
精子バンクに昔の「優秀な男」の精子がたくさん眠っている
子どもはこれで、生まれるだろう
ただし生まれる子どもは全員女であるだろうが。
そう、受精卵が男であったら、すぐにパンドラ・ウィルスの
餌食になり死んでしまうだろうから。
女たちは男の暴力の無い平和な時間を過ごしていった
しばらくして時代が変わり、地上には楽園があった
そこにはメスもオスも幸せに共存している動物の世界があった
ただ、人族はいなかったけれど。
そう、あのパンドラ・ウィルスは受精卵の男でなく精子そのものも
餌食としたのだ。精子を失った女たちはクローニングも試みたが
失敗に終わり、現存の女が死んだとき人の歴史も終わった
男と女 一対でしか生きていけない
それは、神がそう創りたもうたからだろうか…
人のいない地上にもはや、神もない
誰も答える人はいない・・・
*******************************************************
って早い話男と女、2種類しかいないんだから、まあ
仲良くやりましょう(笑)まあ最近の日本では仲良くしすぎ(笑)
植民地支配の手順
そして、日本は敗戦国となった
アメリカ人は決して略奪も暴行もしなかった、静かなる占領だった
ホッと胸をなでおろした日本人だったが、それは日本人の
心深い所への進出の始まりであった
経済援助、食糧・医療援助そして教育の充実・・・・・・
アメリカのてこ入れで脅威の成長・復興を遂げた日本であった
そして西暦200*年 それは突然発令された
新食糧法の制定である
全ての日本国籍を有するもの、及び日本の領土に居住する者は
国定の食料を食する事、というものである
国定食とは、主にハンバーガー、コーク、ポップコーンなどに
代表される大衆食であった
この法案は広く国民は受け入れた。なぜなら大半の国民は
すでにそういったメニューの食生活を送っていたからである
絶対ご飯でなくては食わん!という高齢者は200*年には
ほとんどいなかった(という時期をみたのでもあるが)
一方で昔ながらの米飯食は禁止された
ごはん、みそしる、焼き魚などというモノである
低カロリー食などは、来る食糧難には無駄なことで、高カロリーこそ
人類を救うものだ。これは文句の多い日本の米作り農家の壊滅にも
有効であった。ポストハーベスト(収穫後の農薬)をしない
日本米は、日本の農家は、アメリカ米の上陸の邪魔をした
恨み重なるのである。米飯禁止は日本人にわずかに残ったはずの
アイデンティティーの崩壊にも役に立った
食文化はその土地の歴史も文化もあらわす重要なものだ
言語・・・もう日本語は違うモノとなっていた
若者の話す言葉は年々意味不明となていた
教育・・・日本人がいかに無能で残虐な民族だったか、教えられ
日本人は生まれ変わらなければならないとされた
そして、食・・・自分は誰だ?日本人だ、それはどういう民族だ
などと問うものはいなくなった。知能レベルは下がっていった
トウキョウはスラム化した。ハンバーガーを食べ
ラップをガンガン流すストリート・キッズ
略奪の町となったそこには国籍はなかった
日本で何割かの家庭は日本食を食べていた。それはVIPと呼ばれる
人である。1割にも満たない彼等は日本の中枢を担いアメリカの
支持を守る者だ。彼等は全て日本滞在の「アメリカ人」であった
血を流さない静かなる支配・・・は長い年月をかけて成功する
栄養は体を(労働力)維持するだけでいい。脳みそに供給するのは
運動機能に必要な最低量で良い。日本人の女は妻として貞淑で世界一と
かつて言ったが今や日本人は奴隷として世界一、と言われるほどだ
アメリカの新しい輸出品「奴隷」は実はメイド・イン・ジャパンである
従順な日本人たちは疑問も持たず今は世界中の労働力として
高値で取引されている
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マクドナルドのニュース映像で日本マックの社長が
「うちのハンバーガーをまずいと言うのは人間ではない」と言っていました
実は私パン食ダメなんです(私はやっぱ人間じゃなかった 笑)
で牛肉もダメ(マックさんごめんなさい)ご飯なら何杯でもいけますが
トーストなんて1枚がやっとです。小学校の給食のパンがまずかったから?
ちなみに唯一オッケーなのは「モスバーガー」で、玉ねぎいっぱいでジュワッ
として、パン嫌いな私も食べられます。時間かかるけど(待たされるから)
でもホントハンバーガーやコンビニの弁当など皆食べてますよね
一方で栄養バランスを考えて啓蒙している団体(学校やサークルなど)も
ありますが、食生活もまた二極化していくんでしょう。
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でもこのショートを書いたのはそうでなくテレビで(たぶんNHK教育)
アイヌの辛い歴史をやっていたからです。あの語っていたのは確か
アイヌからの議員さんじゃないかな?
大和民族(日本)はアイヌの地(北海道ですね)に勝手にやってきて
入墨や言語など次々に禁止したそうですが、食べ物もまたそうで
主食であるサケを禁止したそうです。川は誰のもの?
電力会社のもの?いいや、川はみんなのものだとアイヌの人は言います
アイヌの人は神が至る所に、物に宿っているから、国家を作らなかった
と言いました。ちょっと面白いのですがよくない事が起こると
それはその神がしっかりしなかったせいだと神様を怒るのです
あはは。八百万の神と言う日本と同じような考えですが、もっと
お茶目ですよね、ギリシア神話のような!
文化を剥奪されたアイヌ・・・それで思いついたショートがこれです
日本は強制されないけれど、もう相当の文化を自ら捨てています
平等の意味********************
国民は圧政に悩んでいた。富める者と持たざるもの・・・その差は
同じ人間では無いと思わせるくらいである
ある男は思った。これは神の望んだ世界ではない、俺が真の平等を
世界にもたらしてやる!
歳月を費やし計画は完成した
その計画の後には全ての人間が等しく神の御子となるのである
彼がスイッチに触れる・・・低く流れる音・・・そして
地球には沈黙が訪れた。生あるものは一人もいない
誰にでも必ず訪れる苦難、それは「死」である
金持ちも美人も全てその過酷な運命からは逃れられない
良い死に方、などというが死は誰もが同じなのだ
死に至るまでの生の過程に落差がある
だから・・・男はその不平等な「生の過程」を短縮したのだ
人は生きる限り生による不平等を生み出す幼い生物である
沈黙の地球・・・次に知性体が発生した時は平等はあるんだろうか?
*********************************************************
平等の意味2
神は自分の失敗を悟った。泥人形に与えた生には期間限定「死」を
与えたが人はその恐怖に打ち勝つ事はできないのだ
死の恐怖が、少ない「生」の時間を快楽に走らせ神の精神の領域には
届くものではない
そこである時から神は「選ばれし」人間だけに不死を与えることにした
死に捕われない人間たちは精神を磨き社会を神の文化へと
誘ってくれるだろう。そして・・・・・・時は過ぎた
神は地球(箱庭)を覗いた。するとそこには地獄があった
死を抱えるものたちは不死の者に嫉妬しやがては差別が始まったのだ
不死の者は虐げられ底辺の生活をさせられ、やがては殺戮される
もちろん不死のものだから死なない。彼らは死ぬ事が出来ずに
永遠の差別を、苦難を受け続けるのである
人というモノに絶望した神は箱庭の廃棄を決断した
宇宙に人間は要らない。これからは霊長類の発生を認めない事にする
地球に、宇宙におだやかな時が流れるようになった
それは人族が消えてからの事である・・・・・
************************************************
何ともひどい話ではありますが選挙も近いし(?)平等などを
口にするのは良いけど前途は多難だよと言いたいのでした
いじめに苦しむ子ども・・・でも大人社会もいじめでいっぱい。
差別は人が複数いる事で発生するもので、避けるのは大変でしょう
自分ともう一人、いるだけでも自然に(無意識に)相手との差を
考えて接しているのですから。
人に失望しているのでもないし、私は平等でない社会だから好き
と言う部分もあります。でも、ヘンテコな団体が「平等社会を実現
しましょう」なんていうと、どうしても頷けないのです
んでは!今日は休日出勤。いってきまーす