読書かんそうぶん 小説・物語など
GO 金城一紀 講談社
これ(GO)と「凶気の桜」の本の話を人にしたら
「クボズカのファンなの?」と言われた
?私は知らなかったがどちらも映画化されていて
同じ俳優が主人公だそうである
(イマドキの芸能人には無知な私 恥)
そういえばオビや解説に映画とか書いてあったな・・・
偶然である。でも本が面白かったからビデオかDVDで
見てもいいかな・・・面白いですか?観た方・・・
在日朝鮮人の主人公が、語る自分の青春(?)
彼の恋愛物語であると書かれているが一方で
在日朝鮮人と言う国籍に生まれて、ならではの波風も
ワカモノの語り口でさらっと書かれている
途中で韓国籍に変えた時や高校を日本の高校に進路を
のエピソードなどを普通のちょっと悪ガキぶったワカモノ風の
言葉で重さを感じさせず表現できている
「転ぶ」という言葉が頭に浮かんだ
そう、クリスチャンを探し出し(踏絵など)拷問にかけ
信仰を捨てる行為を「転ぶ」と言ったあれである
プライドの高い朝鮮社会にとって自国の国籍を変える事
まして韓国や日本国籍の取得など、悪魔に魂を売るに等しい
・・・でも時代は流れて価値観もプライドの中身も変化していき
今は、どうなんだろう?本当の所は・・・
韓国や日本は嫌いですか?(日本は嫌いだろうなあ。残念)
欧米人から見ると中国人も日本人も韓国人も
全然区別がつかないという
私達から見るとイギリス人もアメリカ人もベルギーもドイツも・・・
みーんな同じに見える
それからすると、国籍なんて、国なんて何の意味があるのか
そう。国とは姿形ではない
国とはその人の気持ちなのである
最近は朝鮮、韓国、中国、その他アジアの国々の
愛国心なるものを、日本人もちょっとは見習った方がいいような
気がしてきた。年のせいかなあ(笑)
国の為に死ねる、とはいえなくても
国を愛しています、位は言いたい
さて。このGOだがイマドキのワカモノの純な愛情表現も特筆
カラオケもいいけどさ・・・昔のような図書館でドキドキって感覚も
どうでしょ?ワカモノたちへ・・・2004・1・26
凶気の桜 ヒキタクニオ 新潮文庫
凶気と言う言葉が?と思い手に取ると裏表紙に
「時計じかけのオレンジ」なんてあったので衝動的に買った(笑)
そうしたら本の解説の中にも同じような事があって
さすがスタンリー・キューブリック(笑)
渋谷を巣とする政治結社(といえるのか?メンバー三人)
ネオ・トージョーは暴力や略奪を繰り返す行為に
社会的な意味をこじつけていたが・・・ヤクザと接するうちに
アブナイ事に巻き込まれてゆく
頭も切れて度胸もある、そんなリーダー格の山口
暴走族や享楽的な若者を嫌い、一風変わった思考の持ち主
そんな彼のせいか、すごい流血が全面にでるような本なのに
サワヤカに思えるから不思議である
大人の保護下にいたい。大人に反抗したい
それって表裏一体って気がする
うまく言えないが甘えられる大人がいるならば甘えていいと思う
私も大人に甘えたい(笑)でも年をとっていって
段々できにくい状況になった。まあ恥を捨て甘てもいいけど
若いうちに・・・甘えよう (^_-)
本の中におばあちゃんの昔話が出てくる
時代に引き裂かれたおばあちゃんの若き日の恋
ここには在日朝鮮人の彼のつらい運命が・・・
そんなおばあちゃんの話のせいかなんだかサワヤカに読めた
流血が平気な人はぜひ、オススメの一冊だ 2004/2/3
いじめの時間 朝日新聞社(各作家 短編オムニバス)
江國香織 緑の猫 不登校からみんなが冷たくなって・・・
大岡玲 亀をいじめる 教師の残酷な亀への仕打ちは!?
角田光代 空のクロール 突然始まったいじめに、本人は沈黙していた
野中柊 ドロップ!成績別クラスで上位クラスの主人公がある日下位クラスに?
湯本香樹実 リターン・マッチ いじめられ子がいじめっ子に1対1で勝負を!
柳美里 潮合い いじめするのは臆病だからか?そして隠そうとする大人たちの闇
稲葉真弓 かかしの旅 いじめられっこが家出。家出の理由は「生きなきゃならないから」
いじめをテーマにした短編集だが、ドキュメントでなく
創作なので、視点はいじめられたり、いじめたりの
当事者の心理が絵のように浮かんでくる
中でも「亀をいじめる」は自らも昔いじめられ経験を持つ教師の
陰湿な亀への、陰湿ないじめ行為が印象的だ
亀に熱湯をかけもがく姿に、彼が求めている事は・・・
神戸の連続児童殺傷事件の少年Aが殺人以前に
猫などを殺していたという。そうした行為が子どもの一過性で
自然な好奇心なのか、病理につながっているのかの判断は
難しいのかもしれない。はっきりいって事件になって初めて
意味がつく。結果論・・・ということか?
注:神戸のA少年は20歳になり今年中に施設から出所するようである
不安の声も出るが、所在などを公表すれば彼の人権が侵害され
更正の妨げになるし、かといって、本当に大丈夫なのか?という不安は
残っている。これもまた、難しい事だ。ただイマドキは通り魔なども多く
普通の顔の人が凶悪犯かもしれない、という人を見たらドロボウと思え
でなく人を見たら人殺しと思え、的な時代である
彼が危険ならあなたのトナリもアブナイかもしれない・・・
いじめは、する側に問題がある、という事を頭ではわかっていても
対策は「ない」に等しい。不登校の子どもが登校したら
イジメはなくなったが「おはよう」「さよなら」という挨拶はきちんと
してくれるが、余分な会話は一切なくなり、その子は再び学校へは
戻らなかったと、そんな話を聞いた事がある
また、いじめられる側はプライドで事実を言いたくない事がある
昔いじめにあっていた人が「絶対親には言いたくなかった
誰にも言いたくなかった。それなら我慢していたほうがいいと
欠席せず3年間(中学時代のいじめらしい)通いとおした」
でも彼女はこういう「でも自分の子には、いじめがあったら
話して欲しいと思うけど」彼女がいじめ体験を話すようになったのは
この数年で、職場などの人間関係が安定していて、かつ
ネットなどで同じ過去を持つ人の話などを通して
前向きになったからだという。彼女が普通にいじめを話すまで
要した時間は20年もかかったのだ・・・
いじめる方は忘れてしまうのか?でもいじめられた方は忘れない
忘れたくても、出来ない。傷が癒えても痕は残るように・・・
息子の学校のいじめも、そんな風に、なっていくのか?
まだ始まったばかり。何とかしたいものだが・・・2003/5/19
臓器農場 帚木蓬生 新潮社
各地から臓器移植患者が集まるハイレベルな病院の闇
無脳症の赤ん坊から摘出されているのか?
疑問を持った看護師と医師は果敢に秘密をあばこうとするが危険が。
臓器移植と言うのは何が問題かというと、死体なら、感情や倫理、道徳
生体からなら危険などが問題視される
だから技術が進んで臓器だけポンと出来るようになれば
または人工でも生体にフィットするように性能が上がれば、いいのだけど
現実はまだ「人間」から「人間」だ
そうなるとこの本のような欠陥ある人間を生ませて、臓器を育成?が
可能性が高い?(ってまさか、そういう事はいくら何でもまだ、でしょ?)
この架空の無脳症児からの移植など倫理的には絶対許されない
が、どこから生命か、それで幾人も助かるという場合
全否定する勇気もない
中絶する胎児に人権があるかどうか、以前から欧米でも議論の的だ
中絶自体は合法の国も多いが、合法だから倫理的に許されるかというと
そうではない。では仮に胎児に人権を認めると、それ以前はどうか?
受精卵、精子、卵子、細胞・・・バクテリア、細菌、ウィルス、有機物の全て
・・・オウムはゴキブリも殺さないと言っていた(人間は殺しても?)
生あるもの全て認めるのも無理がある
でも、生命と物質の境界線はとても、むずかしい・・・
もしも顔もない(脳もない)肉体のみの人間がいて、しかも数日で死ぬとして
その肉体からの移植は「悪」なのだろうか・・・うーむ。むずかしい
そもそも「脳」に感情や人格が宿っている、と考えるならば
やはり人権はないと言う事に??それじゃ世間は納得しないか・・・
PS・以前紹介した「僕の心臓を盗まないで」も臓器移植の
闇ビジネスの話です 2003/5/19
二重証言 新津きよみ 読売新聞社
平凡な主婦が出席した同窓会で、気になる同級生に誘われた
イラストがうまく、でも自分の才能も発揮できない平凡な生活
妻の、母の、そんな才能に興味を示さない夫、息子
そんな小さな苛立ちの中でイラストレーターの同級生の誘いは
主婦を動揺させた
思いきって絵でも見てもらおうかと彼の所へ行ったが
彼女を待っていたのは殺害された死体だった
さて、物語はこんな風に始まるが、読んでわかるとおりこの主婦は
殺人を犯していないし、まだ不倫もしていない
全くのシロの状態なのに、自分が男の所へ行ったこと
それを知られたくない・・・そう思ったときにウソが始まった
読みながら私は「おいおい、まだ何にもしてないんだから
正直に通報しろよー。殺人の容疑者になるよりダンナと
ケンカしたほうがましだろー」と吼えていた 笑
小さなウソが積み重なった時、人は後戻りできなくなるのかもしれない
自分が死体を発見したら、もちろんすぐ警察に通報するだろう
でも、例えば彼女のように「後ろめたい」状況だったら?
110番というカンタンな事ができるだろうか?
自分なら・・・うーん
やっぱり通報するだろう。正義感からではないしエライわけでもない
ウソをつき通す根性がないからである
ウソをつくのはたやすいが、ウソを持続させるのは大変だろう
神経を使い、知恵を使い・・・気楽に生きていたい私には辛い
普通の人が犯罪を犯した場合、犯罪を自供した時にホッとした
と思うらしい。ウソや秘密は大きなプレッシャーなのである
日常生活でも見栄などからついてしまったウソは
時には引っ込みがつかなくなる。正直は自分を救う・・・なるべく
ウソはやめましょう
****
本当に聞いたコワイ話
あるご夫婦。ダンナさまは女性ダイスキらしい(って誰でも同じか 苦笑)
とうとう浮気の現場を押さえた。ダンナさまの一言は
「な・・・何にもしてないよ。ただの部下だよっ」
ベッドインしている所を踏み込まれても「何もしてない」はスゴイ
このように男性とはあくまでシラを切る?ウソと一体の生き物かもしれない
ウソついてもウワキしたいのか?けっこうウソも楽しかったりして 笑
・・・念のため、ウチの話じゃないよ (^_-)
ところで。もしもこれが奥様だったなら?
現場に踏み込まれたら女は開き直って「そうです。ウワキしてますっ!」
と逆切れしたりして? 笑 女は「正直で」「強い」から・・・
強いと言う事はウソや世辞を言わなくてもすむと言う事
虎の威を借る狐というが、虎ならばそのまんまでいいわけである
狐のまんま人生を生きると狼に食われやすい
正直者になりたいならまず、強くなりましょうか (^O^) 2003/5/8
宣戦布告 麻生幾 講談社(上・下)
突然海上に浮かんだ謎の潜水艦。北朝鮮からのテロ工作員の侵入
無防備な原子力発電所、マニュアルにとらわれ、思うように動けない
自衛隊・・・これは血しぶきが飛びアクションいっぱいの始まり方ではない
静かに、デスクワークのような光景から進んでゆく。他の戦時モノの
小説とは一味違う。大丈夫か?日本・・・と心配になる本だ(笑)
読んでいて「お役所」仕事を思い出すような
イライラする有事の対応に、今の日本はもしかしてこうなのか?という
リアルな怖さがある。実際に先日は北朝鮮のミサイル発射実験を
総理も国土交通省も知らなかった(マスコミの取材で知ったらしい)
という伝達のお粗末な事件もあったし・・・
日本は米国支持を始めから打ち出している
イラクも、それを受けて暗に日本批判をしているから
テロ攻撃の対象国に日本も入っているはずである
そんな中でテロ対策は本当に大丈夫なのか?
何十人も拉致されて何十年も何も出来なかった日本である
自力で自国も守れないという「軍事費大国」は
日米安保に頼らざるを得ない
北朝鮮からのミサイル一つ打ち落とせないというから
驚いた。打ち落とす為には米軍の力がいるし
迎撃ミサイルはきっと米国から大金を出して買うんだろうし
敗戦で骨抜きになった弱点が今はっきり見えた
安保とはいじめっ子からやりたくもないケンカに引きずり出される
ひ弱な子、という人間関係に過ぎなかったのか
一緒に来ないと今度助けてやらないぞ、という。2003/3/18
砂糖菓子が壊れる時 曽野綾子 新潮文庫
ちょっと古い小説である。世界のセクシーシンボルで謎の死を遂げた
マリリン・モンローの実話を元に、設定を日本にしたものである
男を惹きつける豊満な肉体をもつ京子はその肉体でスターになるが
彼女の精神は脆く、いつも愛情に飢えていた
淋しさから重ねた恋愛と結婚。日常的な不眠からの薬物常用
それらが彼女を死に招く・・・
こんなに傷つきやすかったら生きていくのは辛いだろう
淋しくて、不安で世界はただ辛いだけの為に存在するかのようだ
男がいないとダメ、だとか
男の切れる事がない、というタイプの女がよくいる
世間(特に同性)ではそんな女を非難するが
あるいは、京子(モンロー)のように、男がいないと生きられない
息苦しさを抱えているのかもしれない
そんな風に思うと、私は彼女たちを非難はしない
同性にモテる人は良い人間で異性にしかモテない人は良くない人
などとよく言うが、異性で楽に付き合えるだとか、癒されるとかならば
友達は同性、異性、どちらでもかまわないはず
なぜ異性の友達しかいない人を非難するのか・・・シットか(苦笑)
大きく胸の開いた服を着ている女がいると周囲の反応は?
男は喜び、女はしかめっ面をする。それは仕方がないにしても
男と密着する生き方の女、というのを認めたい。
幸か不幸か、私はセクシーとは無縁の貧相な肉体を「持っている」
男は惹きつけないが(絶対ムリ だって女版ボブ・サップ 笑)
活動的でそれなりに気に入っている。だから・・・
肉体で人を魅了するという事はないが、人を嫉妬も羨望もしない
丈夫な、安定した精神性はそうした対異性に多いにリンクしている
私は男がいなくても生きられる(と思う。ダンナに怒られそう 笑)
多少淋しいだろうが。でも、男がいないと崩れる人もいる
淋しさは同性では絶対埋められないと誰かが言った
そのと通りかもしれない。異性にしか出来ない、癒せないものもある
ついでに,キイスの他の本も載せときます.
24人のビリー・ミリガン(早川)
1977年アメリカで連続強姦事件の容疑者で
逮捕されたビリー・ミリガン
彼を調べるうちに人格が24に分かれている事がわかって
その原因(多重人格は幼い頃の継続した暴行などで始まる)や
24人それぞれの役割,最終的には1人の人格に統一する過程
怖いというより,人の心の複雑なメカニズムに驚く.
日本でも,連続幼女殺人のMが多重人格だとニュースになった.
けれど,まだ研究段階で,多重人格の「ふり」も可能だから
刑を逃れる為に「ふり」をする人もいるかも.
五番目のサリー
これも五人に分裂した人格の女性の話.
しかしこれは小説で,ルポじゃありません.でも,人格を統合したあとの
サリーの「最悪の気分」は,印象に残る言葉だ.
私達はいい気分の時,悪い時、色々な場面を一人で我慢しているが
それはもしかしてすごいことなんだと,思う.
失敗した時や悲しいとき「これは夢だ」とか「これは私じゃない」とか
否定したい,逃げたい気分になる。
それでも健常者は逃げる人格はない.一人ぼっちだ.
それだからサリーが,苦痛を引き受ける人格も,統合された時
「最悪」な気分だったのだ.私達はすごい.
たったひとり,世界に立ち向かっているから
R.P.G. 宮部みゆき 集英社文庫
殺人事件の被害者の男性はネット上に架空の家族がいた
見知らぬ同士が父を、母を、娘、息子を演じる奇異な世界
その時被害者の「本当の」娘は彼ら擬似家族をどう思ったのか
事件そのものの展開よりもバーチャルな場で家族を演じるという
心理のほうに興味を覚えた話である
例えば息子が私以外の母親を持つこと
例えば夫が私以外の妻を持つこと
例えば母が私以外の娘をもつこと
それを思うと悔しかったり、淋しかったり、する
やきもち、といえるかもしれない
誰でも自分が相手にとって唯一の存在でありたいからだ
ではこう言う場合はどうだろう?
ネット上で息子が私以外の母親を持つこと
ネット上で夫が私以外の妻を持つこと
ネット上で母が私以外の娘を持つこと
もしかすると、現実にそういう家族を持つよりも
ネットの家族のほうに嫉妬を感じるかもしれない
なぜなら、ネットでつながると言う事は「言葉」で
つながっていると言うことだからだ。わかりあう、という。
言葉で心がつながるとは言わないが、心を開くドアとして
言葉は大事なものだ。それをやりとりすれば
理解度も深まるだろう
息子が私と会話をしなくなり、ネットの「母」と色々語る
ああ、想像しても泣きたくなる。笑
でも年頃というのはそういう事もある。覚悟しておこう?
「勝手に部屋に入るんじゃねーよ」なんて冷たーくいわれる
そんな日が来ても心臓が止まらないように免疫をつける事(苦笑)
ああーやっぱりネットで家族ごっこは良くない
そこのあなた!お母さんにふだん冷たくしてるヤツ、
「もう子どもじゃないんだから、うるさくしないでよ」などと
言っているヤツ、あのなー!親には何歳でも子どもは子ども
親には心配なんじゃ!小言くらい言わせなさいっ!
天上の青 曽野綾子 毎日新聞社
女に声をかけ車に乗せる、いわゆるナンパであるが
この男はひとりの女を殺害したことにより後幾人かの女性を殺害する
この男は自分を詩人と名乗っていたり、母親が彼を溺愛していたり、と
そんなストーリーにあの連続強姦殺人犯の大久保清を連想する人は多かろう
著者はそんな犯人像をベースに架空の(?)ひとりのクリスチャン女性を
登場させ清廉な彼女に素直な心を向ける犯人の心理を描き
犯罪者の中に宿る「思い」を描いている
犯人が殺害した女性は夫がありながら不貞をする妻であったり
生意気な口を利く小学生であったり、未成年者をたぶらかしたと
言いつけて欲しくなかったら金を出せと、脅してきた女子高生
だったりする。不道徳(?)な被害者ばかりだ
意外に思えるのはその想定だった
神はある時姦淫して石つぶての刑(姦淫した妻は人々から
投石されるという刑。昔は死に至る刑だった)を受ける女を見て
人々に言った。あなた方のなかで今まで一度も間違いや罪を
犯したことが無いという清い者だけが石を取るがよい
その者だけが女を裁く権利がある・・・
人々の中で女に石を投げるものは誰もいなかったという話がある
完璧に清い人間はいない、そんな弱い(キリスト教的に言うと罪深い)
のが人間だから小説中の被害者への犯人の「天誅」が違和感を感じた
清くあることと博愛は比例しない。稀代の犯罪者さえも赦すのに
小さな悪(罪)を犯した者を叩くような表現に・・・
まあ、それがまた曽野マジック(わざと)かもしれないが 笑
ところで、先日の女性監禁事件の犯人といい連続殺人犯といい
どちらも母親が溺愛している。私も息子はカワイイが気をつけよう
(苦笑)愛情と甘やかしは違うとよく言うがその境界はムズカシイ
かといってスキンシップは大切などという。マニュアルは捨てよう
もうカンで子育てしかない。自分の子どもは自分の子育てが一番と
根拠の無い自信で突っ走る。母親のみなさん、あなたの子どもは
一番よく育てられる人間はあなただけです。自信を持ちましょう!
子どもを叱るにしても理屈で説得して納得する親子もいるし
パカーンと頭やお尻をひっぱたいて体で覚える親子もいる
親子の数だけ教育の数もある
(虐待などしてしまう場合はマニュアルや他人の介入は必要だと
言う事は一応述べておく・・・)
世界の「搾取」のお話も考えちゃいましたー
キューバっていう設定が、色々な想像をさせました
テロリストの海 小川竜生 実業之日本社
フリーライターの男(主人公)がある日見知らぬ老人から
キューバにいる娘に渡してくれと預かり物をする
老人は、昔かの国の革命戦士であったという
自身も若い頃学生運動に身を投じ挫折した主人公は
老人に感じるものもあり深く考えず引きうけることにする
革命の国、情熱の国、キューバで老人の娘探しは難航
さらに命を狙われ始める。老人の渡したものは?
そしてその重要性は?
この小説は話としてはハードボイルドという感じも無いし
スリルとサスペンスという感じでもないが、全体を流れる
キューバの雰囲気が伝わって後味は悪くない
雰囲気で読んでもらいたい、という一冊である
キューバという国は世界でも今では稀有な体制の国で(北朝鮮と)
彼らが世界から取り残されたのか?いや私は世界の今の
搾取の体制から外れただけかもしれないなどとロマンに浸る
先日もテレビでハワイで座礁したタンカーに取り残された犬を
救うという美談をやっていた(人々のカンパで莫大な費用は補填)
それは動物愛護を旨とする欧米人の美徳(?)かもしれないが
同時にやっていたニュースでパレスチナ難民の映像や
飢餓に悩む南アなどを見ると何か違う・・・と思うばかり
経済は搾取のバランスだ。それは時代を超えてもピラミッド型で
少数の裕福な階級が富を占有し、多くのピラミッドの土台の者は
「持たざるもの」である。日本はピラミッドの上部に位置し
そこから見下ろしているから(欧米と共に)偉そうに言えないが
私たちは「奪うもの」であるのは確かなのだ
だからといってこの暮らしをやめられるわけは無いが
犬の救出に何百万ドルもかけるお金
実際は人は「自分の出したい時に出したいものに金を払う」現実
犬は助けても飢える(敵国)人は助けない?
なお搾取される人々というのは昔から弱者で数の多い人々である
モノを実際に生産する労働者と、上部で支持する層、さらにその上。
賃金はそうした労働に反比例している現実
何万人もの奴隷の作った作物を搾取する支配者、王であったり
地主であったり呼び名や形は時代や文化で違うが本質は同じだ
私が愛する百円商品(笑)などは典型だ。これもまた搾取の
ひとつの形である。わずかの金で買う商品はどこかの国の
労働者の低い賃金の賜物だ
一方で現代においては知識を制するものが財を制するとも言う
知識があるかないか、で搾取される側か、する側か、に分かれる
個々人を見た場合日本などは多くのサラリーマンが
知識がありながら搾取されていると、反論しそうだが
国全体の知的レベルを考えるとはやり教育の普及していない国との
差は歴然である。貧困と教育は絡み合う。貧しいから教育できない
教育が無いから貧しい・・・という悲しいリンク
夏の工場は暑い。軽く40度を突破している中で作業していると
不思議な感慨に囚われる。OL時代から比べると10倍は賃金を
稼いでいいくらいの労働(笑)末端の労働者というのはこう言うもの
昔私がOL時代入れた機材というのは実際は書類の上であって
汗して運んで、工事したのは職人さんたちなのだ
あのビルのあれは私が入れたんだよ、と息子に言っているが意味が違う
デスクで何を計画しても私たち労働者が動いて生産しなければ
何も作れない。でも一番低い地位にいるのが労働者である
この矛盾はマルクスさえも解決できなかったわけだ
ある種、労働とは力の象徴で力のあるものが優勢の立場を取れ
弱者は奴隷になる。競争に負けたものが悪い、とも言える
ああ、私は負けたのか(笑)いつからか労働が悪のように言われるように
日本はなった。勤勉は美徳だったのに、欧米の非難か?悪魔の誘惑か
額に汗して働くことは貧困の象徴、貧困そのものが悪であるという価値観
アメリカが嫌われるのは世界一の大国(良くも悪くも)だから、だけでなく
世界の富が一番多く集中しているからだ。搾取の国であるからだ
だから穴にはまった動物をヘリコプターが助ける費用が
地雷を何個撤去できるのか、ワクチンを何本買えるのか
考えるのも悪くない。
革命とか平等などを唱える人々のキモチはとてもよくわかるが
たぶん永遠に成就しない。なぜなら人は自己チュウで
自分が良くなれば全体のことは考えなくなる生き物だ
「もっと食べたい」自分を満たしたい
革命を起すには大勢の民衆の力が要るが、案外革命は難しくない
(かもしれない)だが、問題はその後だ。裕福になった民衆に
平等という観念を保ち続けるのは・・・大変だろう
さらに貧困から脱出できない民衆の不満を押さえるのもまた大変だ
結局、階級差はいつもあり、転覆の繰り返し・・・
如何にそれらの思想をうまく押さえ込むか、やはり心理テクか?笑
だから全体主義は思想統制に走るのかもね。うーん、納得